ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

データマーケティングから、戦略的な在庫管理を考える。 【no.0121】

 イーコマース事業を収益化させ、拡大と最適化を効率的に測っていくときの課題がいくつかあると思うのですが、その中でも、多くの事業者さんが頭を抱える問題に在庫管理があります。今回から数回に分けて(2-3回かもしれないが‥)、イーコマース事業を成長させていくために、どのような在庫管理を考えていけばいいのかを書いていこうと思います。たまにはちょっと真面目に。

*「売ったら売っただけ作れば良い」という商品もある

 在庫管理の話をする前に、世の中にはそもそも「在庫管理が必要ない」という事業者がいます。大半のイーコマース事業者が抱える大きな悩みを、体感したことがないわけです。製造メーカーさんが直販でイーコマース事業をおこなっている場合、「在庫管理が必要ない」ことがあります。

 特に多いのが、食品のジャンルや美容・健康のジャンルで、自社で企画・製造をしている商品を販売していれば、基本的に在庫はフリーになります。楽天市場とYahoo!ショッピングとヤフオク!とAmazonとポンパレモールと自社サイトと、10サイトで売ろうが30サイトで売ろうが、同時に実店舗で商品を販売していても在庫フリーです。なので、こういうところは在庫連動の仕組みも必要がありません。

 いわゆる「売ったら売っただけ作れば良い」という商品です。もちろん、予想外の大量な商品の注文がきたときには、商品の材料の問題や商品を製造するための人員の問題があります。なので、こういうイーコマース事業については、「ページの在庫をどのように設定しておくか」が在庫管理ではなく、商品の「材料・人員・(材料の)流通」などのリソースをどのように把握しておくが「=在庫管理」というようになるのでしょうね。

*LINEの「スタンプ」には当たり前だが在庫管理は無い

 商品の販売なのに、在庫がフリー、で思い浮かんだのは、いわゆる「アバター」の販売ですね。最近では、LINEの「スタンプ」の販売でしょうか。ああゆうビジネスって、在庫がないじゃないですか、いくら売れても、売り切れること自体がないし、機会損失もない。さらに、いくら商品の数を増やしたとしても、保管スペースが必要ない。もちろん、配送の手配やトラブルを気にする必要もない。

 在庫管理を全くしたくないならば、まずはスタンプのように、デジタルで販売することを考えて、その後、在庫フリーでいける商材かを考えて、在庫フリーではないけれどもより少ないSKU(最小管理単位)でいける商材かを考える。こんな感じで商材を決めていければ良いのでしょうが、まあ、簡単にはいきませんよね。多くのイーコマース事業者が、たくさんの商品を販売している中で、どのように在庫を管理すればいいか、日々試行錯誤をしているものだと思います。(ちなみに、サイトの販売力が強いため取引先に在庫のリスクを抱えてもらって「在庫フリー」はここでは無しね)

*今、お客様が買ってくれる商品を、今、持つ

 昔のイーコマース市場であれば、お客様の注文を受けてから、商品を取引先に発注し、入荷次第お客様に発送する、いわゆる「受注発注」の形式でもネットショップを運営し、売上を伸ばしていくことができました。でも、今は、サービスの激化で、当日出荷・翌日配送が当たり前になってきているじゃないですか。楽天市場の「あす楽」もそうですし、Amazonの「Amazonプライム」もそうですよね。先日、BPIAで講演いただいた嶽本さんのインク革命.comは、地域により当日出荷・当日配送の仕組みを整えています。

 だから気持ちとしては、在庫は持ちたい。持ちたいし、持たなきゃ売れない時代なのもわかっているけど、在庫として残ってしまったら困るし、最後まで残り続けなかったとしても、いつどの商品が売れるか、いつお金になるかがわからないのは非常に困るわけです。まあ、だから頭を抱える悩みなわけだと思うんですけども、そこで考えたいのですが、在庫管理の理想ってどんな状態ですかね?

 最高に理想の状態とは、「今、お客様が買ってくれる商品を、今、在庫として持っている」状態ですかね。そこに、データマーケティングを駆使してなんとか近づけないですかね。

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 3.Eコマースの収益アップ

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから