Eコマースの市場の変化について、改めて振り返ろう。四【no.0758】
Eコマースの市場の変化について振り返りたいと思います。(前回はこちら)
前回の続きです。こちらのブログですが、2011年前半までの振り返りはネットショップ運営担当者、スタッフの立場から、2011年後半からの振り返りはコンサルタント、経営者の立場からの視点になってしまうことをご了承ください。
振り返れば「市場の波ってこういうものなのだろうな~」という感じなのですが、2008年までのEコマースの業界は「需要>供給」の時代でした。だからこそ、広告戦略を中心としたマーケティング、メールアドレスを購入してアドレス保有数を増やす、などの手法でショップの売上を伸ばしていくことができました。
潮目が変わってきたのは2009年です。あくまでネットショップの運営を担当していた私の印象ですが、Eコマースを続けている方なら共感してもらえる部分と思います。Eコマース業界の需要と供給の関係が「需要=供給」となり「需要<供給」に傾き出したのが2009年でした。
広告をかけたことによる売上が期待していたほど返ってこない。メールマガジンを流しても思ったほど反応がない。そのときは「広告に出稿した商品の画像がイマイチだったのだろうか。それとも商品自体をハズしてしまったのだろうか」というように、効果が下がったのを「自社の問題」として捉えていました。
2015年のいま振り返れば「市場が変わってきたんだね」と思えるのですが、当時は一時的なものだと思っていました。自社のカイゼンにより、また広告の効果も戻っていくと。当然、うまくハマれば売上が戻ることもあります。しかし、基本的にはジリジリと効果が下がっていきました。
需要と供給のバランスの変化は、商材のジャンルによってその時期に多少のズレがあるようです。私が担当させてもらっていたネットショップは貴金属(ジュエリー・アクセサリー)とレディースファッションのジャンル。Eコマースの市場でもっともレベルが高く、変化のスピードが早いジャンルです。特に専門的なジャンルについてはもう少し遅く波がきたところもあるようです。
市場の潮目が変わっていても、それに気づかない(気づくための判断基準がない)わけですから、「自社の取り組み方」に課題を探し、以前と同じ方法を繰り返していました。
広告の出稿をゆるめ、自社の専売商品の開発に力を入れたり、競合他社に先行して「在庫→即配送」の仕組みを整えたり、もっといえばコンテンツマーケティングのようなことをスタートしていたら状況は変えられたのだと思いますが、広告中心の戦略に慣れ切っていましたから、「広告の当たりを待つしかない」というような状況です。2009年~2010年、同じような悩みをもったネットショップは多いと思います。
2009年までのEコマース業界は「Eコマース専業の小売り」が業界のトップランナーとしてたくさんいましたが、「Eコマース専業の小売り」は状況が少しずつ厳しくなり、業界の勢力図が変わっていきます。元々リアルでブランド力をもっていた会社がEコマースにより力を入れるようになったり、それまで商品を卸していた(「Eコマース専業の小売り」に卸していた)会社が自身で自社でネットショップを始めたりということが起こり始めてきました。
Eコマースの市場で広告戦略が効きづらくなってきた。それでも売上を上げなければいけませんし、新しいお客様を獲得しなければいけません。時代は「サービス合戦」に入っていくようになります。そして、これがよりEコマース業界の勢力図を変えるきっかけにも繋がります。Amazonの台頭です。
つづきはこちら。
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