ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

自分が思っているよりも、実はスタッフの方が自社のことを考えている【no.0553】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

「七海さんと友花里さんに、『直販事業部』の立ち上げをお願いしたい」

 鬼切社長がそういうと、七海さんと友花里さんは一瞬時が止まったように静止した後、お互いの顔を見合わせました。そして、ふたり同時に鬼切社長の方を向いていいました。

「頑張ります」

 この返答には鬼切社長があっけにとられました。鬼切社長はてっきり、「ムリムリ。私たちには荷が重いです」というようなこたえが返ってくると思い込んでいたのです。「やる」と即答してくれるとは思っていませんでした。友花里さんが言いました。

「今日のお昼に鬼切社長が実店舗にきて私たちに声をかけた後、七海と話してて、たぶんネットショップのことなんじゃないかなぁーと思ってたんですよ。きっと、私たちがやることになるんだろうなって」

 どうやら、最近の猪井氏先生との打ち合わせの様子や、鬼切社長の社内での言動、行動などから、Eコマース事業について様々な憶測がおにぎり水産のスタッフの間で飛び交っていたようでした。スタッフ(特に女子メンバー)の間では「誰がネットショップ専任の担当者に指名されるか」ちょっとした話題にもなっていたようです。

「私たち、実店舗の仕事も楽しいんですけど、ネットショップにも興味があったんで。プライベートではAmazonとか楽天市場とかで買ってますからね。私たちは。だから、おにぎり水産はネットショップこれからどうやっていくのかな~なんて、けっこう前から友花里とも話してましたよ」

 今度は七海さんが口を開きました。自分が知らないところでおにぎり水産のネットショップの話がされていた・・そのことに鬼切社長は驚きました。そして同時に、鬼切社長自身がひとりでEコマース事業のことを悩むよりも、七海さんや友花里さんのような社内の人財にどんどん意見を出して考えてもらう方が良さそうなことに気がつきました。「自分が思っているよりも、おにぎり水産のスタッフはおにぎり水産の未来のことを考えている・・」鬼切社長はそう思いました。

「七海さん、友花里さん、ありがとう。ふたりでぜひ、おにぎり水産の『直販事業部』を引っ張っていって欲しい。そこでだ、直販事業部の事業部長は、しばらく私が担当したいと考えている。七海さんと友花里さんにはそれぞれ、実店舗部門とEコマース部門の責任者になって欲しい。いまはふたりとも実店舗の方を担当してるんだけれども、どちらかがEコマースをメインに担当して欲しい」

 友花里さんが七海さんの方を見ました。間もなく、今度は七海さんが友花里さんの方を見ました。そして、ふたり同時にニコっと笑いました。「七海、どうする?」「友花里、どうする?」お互いがお互いに質問をしました。そして、友花里さんより早く、七海さんが鬼切社長の方を向いていいました。

「社長、友花里がやりたいって!」

 七海さんがそういうと、今度は友花里さんが「いやいや、七海こそやりたがってたじゃない」といいました。それに返すようにまた七海さんが「友花里の方がネットショップ得意でしょうに。先月もけっこう買ってたじゃん」といいました。七海さんと友花里さんの間でこんなやり取りが数回続きました。

「ということで・・どうする?」。ふたりのコントを見ながら、鬼切社長は言いました。

「じゃあ、私がやります。これ、本当に。私がネットショップをメインで担当しまーす」

 そう言ったのは七海さんでした。「だって、Eコマースの方を担当するのに、そんなすごいリスクとかってないですよね」、続けていいました。「うん、猪井氏先生や麻間さんがサポートするし、ないよ」、鬼切社長はこたえます。

「じゃあ、おにぎり水産直販事業部のEコマース専任担当は七海さんで決まりだ!」

「はいっ!頑張ります!」

 七海さんは元気にこたえました。これから猪井氏事務所の鬼のスパルタ教育が始まるともつゆ知らずに・・

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから