猪井氏先生が鬼切社長に伝えた「ネットショップ担当者」の適任条件とは【no.0532】
ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。
おにぎり水産のEコマースチームの事業責任者を誰にするか
鬼切社長は猪井氏(いいし)事務所とのEコマース事業の「全面バックアップ」の契約にサインをしました。3年間はEコマース事業において、おにぎり水産と猪井氏事務所は利益をシェア。そのかわり、その3年間でおにぎり水産のEコマース事業、そしてEコマースチームをひとり立ちさせる、という内容です。
契約直後、猪井氏先生が鬼切社長に要求したのはおにぎり水産のEコマースチームの事業責任者を誰にするか、でした。名義としてはEコマース「チーム」ですが、実質的なメンバーはひとりだけです。事業責任者であり、唯一の運営者であり、猪井氏事務所のコンサルティングを徹底的に仕込まれるのは誰か、という話です。
事業責任者の候補を社内から探す、もしくは社外から登用するにあたり、鬼切社長は「適任者」について猪井氏先生に質問をしました。猪井氏先生は少し考えて、こう言いました。
「うーん。人間って十人十色じゃから、バッチリこういう人がいいってのは言えないんじゃけども、はっきりしてるのは『おにぎり水産のこと、笹かまぼこのことを良く知っている人』がいいってことじゃな」
鬼切社長はEコマースのマーケティング経験者を採用しようと考えていましたが、その考えは猪井氏先生によっていきなり崩されてしまいました。
おにぎり水産の理念や笹かまぼこへのこだわりを知る人
鬼切社長は思わず、「何でですか?」と聞き返していました。
「だってー、おにぎり水産の理念とか、笹かまぼこへのこだわりとか、そういうのがわからんとお客さんに商品を提案できないじゃろ。たぶん、鬼切はんはインターネットのマーケティングの知識がある人を入れて、そいつにネットショップの責任者をやらせたろ思うとったと思うが、そんな時代じゃないぞ」
鬼切社長は猪井氏先生に図星を突かれ、一瞬たじろぎました。猪井氏先生は、たじろいだ鬼切社長に追い打ちをかけるように言いました。
「厳密にいえば、昔のEコマースはな、インターネットのマーケティングに詳しい人間が売れば、売上がガバガバとれたんじゃ。いまでも、商材によってそういう部分がないこともないんじゃけども、やっぱりおにぎり水産のものとして長くネットショップをやっていくなら、自社のことをよーくわかっている人間じゃないといかんなぁ。むしろ、インターネットのマーケティングが得意な人間に笹かまぼこのこと教える方が、大変じゃぞ」
そう言って、ガッハッハッハと大きく笑いました。
「そのために、猪井氏事務所がいるわけでもあるからな。まあ、人財育成についてはワシと麻間にしっかり任せといてくれ」
会社と商品のことを知る、若くて素直な専任の担当者
鬼切社長は猪井氏先生の言葉に納得し、手帳に「採用は×」と書き込みました。筆を走らせながら、「あと他には、どうですかね。必須条件じゃなくても」と言いました。
「そうじゃなぁ。できれば、若い子がいいじゃろうな。これから事業責任者に成長していって欲しいってのもあるし、パソコンやスマートフォンの扱い方にも慣れてるじゃろうしな。それに、年寄だと頭も固くなってるじゃろ。ワシみたいに素直なジジイだといいんじゃけども」
そう言って、また猪井氏先生はガッハッハッハと大きく笑いました。鬼切社長は猪井氏先生の最後の部分は無視をして、手帳に「できれば若い子」と付け足しました。
「そんなもんじゃろう。インターネットのマーケティングの考え方やネットショップの運営スキルはウチの方で何とかするしな。会社と商品のことを知っていて、若くて素直で、専任の担当者であればな。この専任ってのが重要じゃからな」
猪井氏先生は「専任が重要」を何度も何度も繰り返し、鬼切社長に言いました。
つづく。
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