既存顧客に向けたCRM戦略のポイント。【no.0207】
これまで数度にわたって、CRMについて書いてきました。まず、CRMの構造として、潜在顧客・見込顧客・新規顧客・既存顧客の4つのステップがあること。潜在顧客への攻め方。そして、CRM戦略の各フェイズにおけるKPIの設定方法などをお話してきました。今回は、最後のフェイズである既存顧客(つまりリピーター)に向けてのCRMの考え方を書いていきたいと思います。
*大切になるのは「顧客の成長」
通常、CRM戦略というと、この4つ目のステップである既存顧客に対して、いかにロイヤルカスタマーになっていただき、長くサービスを利用してもらうか、さらには、サービスのエバンジェリストになってもらい、いかに次のお客様を呼び込んでもらうことができるか、というところがメインになると思います。むしろ、ここまでのCRMの話の中で、先に4つのステップを説明したことの方が珍しかったかもしれませんね。
CRM戦略を考えるとき、大切になるのは「顧客の成長」です。それは、無料のサンプルを利用してもらい、2,980円の通常商品を購入してもらい、毎月3,980円の定期購入を利用してもらい、年4回の頒布会イベントに参加してもらって、3年5年をかけて商品のアップグレードをお勧めしていく、というような利用金額の「成長」だけではありません。1,500円の商品を毎月、50年間購入し続けてもらう、というようなことも、長く利用し続けてもらうというひとつの「成長」ということになります。
*データを活用して逆のマーケティングを起こす
では、何を元にしてお客様に成長していってもらうのか、提案をしていくのか、ということです。
ひとつはサービス利用のデータです。購入商品や購入金額、購入サイクルなどのデータを蓄積しておくことにより、過去のデータから利用状況の近しいお客様を探しだし、1to1に近いマーケティングができるようになります。注文データだけではなく、お客様の属性を顧客データとしてデータ化しておけば、データが溜まるにつれて、どんなお客様がどんな購入をしてくれるのかが明確になってきます。そしていずれ、「自社のサービスで成長する顧客」だけに絞って、潜在顧客にアプローチするというな、逆のマーケティングを起こすことも可能になるわけです。これによって、プレモーションコストを劇的に抑えることができます。
もうひとつは、シーズンです。1年は12か月、そして4つの四季があります。バレンタインや夏休み、クリスマス、お正月といったイベントが毎年あらかじめ設定されており、お客様はその1周を365日かけてグルグルとまわっています。1人1人のお客様の利用データをウォッチすることと共に、年間のスケジュール(販売戦略)をしっかり立てて、お客様を成長の波に乗せていきたいところです。
*ランドセル業界は年単位のCRM戦略を組む
そして、最後は年です。年単位のお客様の成長を元にして、CRM戦略を構築していきます。たとえば、ランドセルの業界。通常、ランドセルを購入するのは小学校入学前の1年以内ですから、その時点でのお子様の年齢を確定することができます。そのお子様は、6年後には小学校を卒業し中学生になり、9年後には高校に入学し、12年後には大学や専門学校に入学したり、社会人になったりするわけです。ですので、ランドセル業界は、顧客リストに対して年単位のCRM戦略を組むことができます。
リクルートスーツを販売する会社も同じです。就職をするタイミングで購入があるわけですから、社会人1年目、3年目、5年目、10年目にはこんな課題がありそうだと予測してCRM戦略を立てることができます。28歳前後に転職を考える可能性があるから、6年後にDMを予定しておこう、とかですね。
ということで、今回は既存顧客のCRM戦略について少し触れてみました。データの分析とともに、季節的なサイクル、そして年単位での成長の2つを加味して短中長期的なCRM戦略を立ててもらえればと思います。
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