「ネット選挙って、オムニチャネルと全く同じじゃん」 【no.0125】
家入一真氏が都知事選に立候補したことで、ソーシャルメディアが盛り上がっている。家入さんはもちろんインターネットの使い方にたけている人だし、家入さんに近いネット界隈の人達や、今まで選挙に参加していないと思われてる20代~40代の層も、家入さんの話題を中心としてネット上を賑わすことになるだろうから、これが本当の「ネット選挙」じゃんという話になることは確実。昨年の参院選が形式上のネット選挙の始まりみたいに言われていたけど、家入さん立候補によって、本当の「ネット選挙」が随分と早めにきましたな。
ネット選挙、ネット選挙といっても、具体的には選挙の何のためにインターネットを使うのかってところが日本では曖昧だと思うんですが、アメリカのオバマキャンペーンみたいなマーケティングを指しているならば、ネット選挙とは、インターネット上でキャンペーンやプロモーションを行うってことだけではなくて、インターネットを使ったデータマーケティングだと思うんですね。セブンアンドアイグループが打ち出したことで、いまより注目されている「オムニチャネル」と本質的には同じ話です。
私も選挙についてはそれほど詳しくないのですが、選挙っていろんな縛りがあるんですよね。その中で、いままでは、選挙カーに乗ってひたすら政党名と名前を連呼したり、駅前や公民館で演説を行ったり、チラシを配って、握手したり、立候補者は発言や行動に制約がある中で、できる最善のことをやっているのだと思います。政党名と名前のひらすら連呼による「熱意アピール」も、それが効果があるからこそやっているんだと思います。というか、思いたい。このような、今までのリアルの戦いに加わったのがインターネットですよね。
政党や個人でホームページを立ち上げたり、ブログやソーシャルメディアで考え方や日々の行動を発信したりして、いつでもどこでも(たとえ一方通行でも)支持者と繋がることができるし、第三者の有権者が個々人のメディアから発信をすることによって、新しい支持者を得ることにも繋がるわけです。もちろん、支持してもらう以前の、認知の段階も含めて。インターネットを使った選挙として、イメージとしてはだいたいこんな感じだと思います。
公民館での演説や選挙カーや駅前で握手という、リアルというチャネルでの有権者との接触という他に、ホームページやブログ、ソーシャルメディアを使ってネットというチャネルで有権者と接触できるようになる。もちろん、ネットで接触できるチャネルを、パソコンだけではなくスマホ・タブレットと広げていけば、これって「オムニチャネル」戦略そのものじゃないですか。政治家は自分という商品を買ってもらうわけで、有権者を「顧客」と言い換えればまったく同じです。
じゃあ、このネット選挙の本質的な役割って何なの‥?という話になれば、「オムニチャネル」と同様に、データを取得して、次のマーケティングに繋げていく、ということになります。どんなデータを取るの、といえば成果データです。つまり、リアルでの有権者へのアプローチ、ネットでの有権者へのアプローチに対して、その成果をインターネット上から自動で取得しようというわけですね。
例えば、公民館で100名を前にして講演を行っても、今までだと「居眠りしてる人少なかったし、握手を求めてきた人が多かったし、なんとなく好感触」くらいしかわからないわけじゃないですか。これって、よく書いている「定性的」ってことですよね。でも、100名を前にして講演を行った日に、twitterのフォロワーが20名増えたとか、ブログで講演のレビューを書いている人が5人いるとか、ホームページのアクセスが50PV増えたとか、そういうのがわかると、政治家も「定量的」に自分達が行っている行動が評価できるようになりますよね。
そして次に講演したときに、テーマを変えるとか、質問の時間を長くするとか、「何かを変えて」臨んだときに、インターネットからまた新しいデータを取得することができる。そうすると、講演という行動と、データという成果を比較できるようになる。「原因」と「結果」が見えるようになることで、「結果」を求めるためには、どんな「原因」をつくっていけばいいのかが、実践の改善を重ねるごとに明確になっていくというわけです。
これをすることがネット選挙であり、これってつまりデータマーケティングであると思うのですが、やっぱり「オムニチャネル」とまったく同じですね。
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