ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

在庫管理視点でみた物流のアウトソーシング化。【no.0275】

 ネットショップの規模別の課題「月商300万円」のフェイズ。(前回はこちら

 前回のエントリーでは、月商300万円のフェイズの課題として、バックヤードのシステム化・仕組み化を挙げました。月商300万円に到達するまでは、アクセス数や売上を増やすというフロントヤードの業務に注力することが大切であり、バックヤードの仕事は人海戦術で乗り切ることができますが、月商300万円レベルを超えると、人力では時間がかかりすぎるようになります。受注システムの導入や、物流のアウトソーシング化を検討しなくてはいけなくなるというわけです。

*在庫管理の必要がないネットショップもある

 物流のアウトソーシング化を考えるときの話です。例えば、月商100万円で1日16件の発送が、月商300万円になれば、3倍の1日50件の発送リソースが必要になります。当然、アウトソーシングという選択肢ではなく、発送業務の人員を3倍にするという手段があります。アルバイトさんを3倍の人数、雇用するという方法です。もちろん、この選択も構いませんが、物流の量が3倍になると、発送業務以外にも大きな負担がかかってきます。それが、在庫管理、ということですね。

 まず、在庫管理の必要がないネットショップというものもあります。こちらのタイプは例外ということになります。1つは、そもそも在庫という概念がない会社です。ドロップシッピングや受注発注形式でネットショップを運営していれば、基本的に社内に在庫を持っていることはないでしょう。(もちろん、返品・交換用に在庫を多少持っていることはありえます)。また、ネットショップで販売している商品が著しく少ないところ。例えば、取り扱っている商品数がたった1商品だけのネットショップであれば、在庫管理の負担はかなり少なくなります。社内の在庫スペースに入るだけ、商品を置いておけばいい話だったりもします。

 とはいえ、です。社内のスペースは在庫で埋まっていきますし、発送の人員を増やすならば、効率的に物流作業を行うことができる発送ラインが必要になってきます。売上があがるごとに、非効率を招いてしまうのではもったいないですよね。そこで、選択肢としては、自社内での発送を続ける場合、オフィスのより広いところに引っ越すか、自社で倉庫を借りて物流業務を行う場所を変えるか、それか物流のアウトソーシング化を考えるか、ということになります。

*在庫のデータ管理が最適化される

 ここで、物流をアウトソーシング化することの大きなメリットを1点、挙げておきます。物流を外注化すると、在庫のデータ管理が正確になります。自社内では、どうしても商品の棚卸が3ヶ月から半年に一回という頻度になってしまいます。その間、日々お客様からの商品の返品・交換、商品の写真の撮り直し等々があるたびに、様々なスタッフが在庫を取っていったり、足していったりして、在庫のデータが少しずつずれていきます。その点、物流をアウトソーシング化していると、商品の入庫・出庫の管理を正確に行ってもらえるので、安心です。正確な在庫データを毎日把握することができるわけです。

 逆に、デメリットも1点挙げておきます。物流をアウトソーシング化すると、自社内から商品のヤマがそっくり消えてしまうので、在庫に対する意識がどうしても弱くなってしまいます。アウトソーシング先の在庫データから、日々在庫数や在庫金額のデータをチェックしていても、それはあくまで数字上の話です。人は現物を見ないと「在庫が溜まっている、ヤバい!!」という実感がイマイチ持てないものなのです。物流のアウトソーシング化をした場合は、少なくとも1ヵ月に1回は倉庫を訪れ、在庫アイテムを肉眼で確認するのが良いと思います。

 今回、月商300万円のフェイズの課題として、在庫管理視点でみた物流のアウトソーシング化について書きました。もちろん、母体となるビジネスとの関係で、すでに倉庫や発送スペースを持っているネットショップについては、わざわざアウトソーシングをする必要はありません。1つの課題解決策として、覚えておいてください。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから