ランキング1位のために、さらに広告を使いましょう。【no.0218】
ネットショップのあるあるストーリー、その壱つづき。(前回はこちら)
鬼切社長がバレンティンばりのガッツポーズを決めていると、携帯電話が鳴りました。それは、例の担当者からです。
「いやー、鬼切社長、やりましたね。素晴らしい。売れてますねー。広告を打って大成功でした。やはり、これも鬼切社長の才覚というか商才というか。私も社会人としてビジネスをさせていただく1人ですから、本当に勉強になりました。やはり決断力が勝敗を決めるんですね。これまで鬼切社長が勝ち続けてきた理由がわかった気がします」
そうだろうそうだろう、やっぱり私はスゴイんだ。鬼切社長は担当者の話を気持ちよく聞いていました。担当者の話は続きます。
「それでですね。良い波に乗れている間に、次の提案を、と思いまして。今回の広告で売れたことで、ショッピングモールの笹かまぼこジャンルランキングでおにぎり水産さんの商品が8位まで来ております。ここからネットショップに流れてくる方もたくさんいらっしゃると思うんですが、8位よりも上を目指して欲しいんですよね。そこで次の広告なんですが、来週からお母さんありがとう母の日2014という広告がスタートします。こちら、おにぎり水産さんのために、今日の朝のミーティングで他の店舗から強引に取ってきた広告でして‥」
鬼切社長は担当者の話を聞きながら、横目でスタッフを見ると、笹かまぼこの出荷を一生懸命頑張っています。
「いや、申し訳ない。私もこのままの勢いでいきたいところなのだが、先日の広告で一気に膨らんだ出荷がまったく追いついていないんだ。初めてこんなにネットショップから注文がきたもんだから、みんなてんやわんやの状態になってしまって。この出荷が落ち着いてから、また提案をお願いします」
すると、担当者は間髪をおかずに言いました。
「いや、鬼切社長、それはダメです。いまおにぎり水産の笹かまぼこが8位になっているランキングは、一定期間の注文が反映されているものなんです。さらに広告を重ねて、期間内の注文数を増やすからこそ、意味があるんです。これが1ヵ月先になると、先日の広告で売れた分はカウントされなくなります。もっと広告費をかけなきゃいけないことになりますよ。もったいないです。いましかないんです!」
てんやわんやの出荷の状況をもう一度確認して、鬼切社長は言います。
「しかし、うちには、この『オニー』ブランドの笹かまぼこしかないし、母の日の商品として大丈夫でしょうか?来週となると製造も間に合うかわかりませんし」
担当者の語気がなぜか強くなっています。
「鬼切社長、大丈夫です。前回の広告であれだけ売れたんですから、今回の母の日の広告でも問題ないと思いますよ。とにかく、いまが攻め時です。私と一緒にランキング1位を取りましょう。そして、祝杯をあげましょうよ。みなさんこれで成功されています」
わかったわかった。前回の広告も、この担当者の薦めで成功したわけだ。この人が言うことなら問題はないだろう。鬼切社長は担当者を信じて、お母さんありがとう母の日2014という広告に出稿することにしました。その金額、70万円。「さぁ~みんな、また全国からたくさんの注文がくるぞぉ。製造班、追いつけるかなぁー、発送班、大量出荷の心がまえをお願いしますよぉー」。鬼切社長は社員を鼓舞しました。
そして、お母さんありがとう母の日2014の広告期間の売上は‥前回と同じ5枚980円セットが1,000セット。
「あれ?前回より金額の高い広告なのに、同じ数しか売れなかったのか‥」
鬼切社長はなんとなく嫌な予感がしましたが、製造班・発送班が頑張って仕事をしているのを見て、嫌な予感を心の中に押し戻しました。たくさん売れたし、まあ、いいか。これでおにぎり水産のお客様になってくれればいいよな。
そのとき、また例の担当者から電話がかかってきました。
つづきはこちら。
カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 連載, 鬼切社長シリーズ