ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

ネットショップとお客様の関係は「マジックミラー」。つまり、お客様からは丸見え【no.0826】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

 翌週、麻間(あさま)さんがおにぎり水産にやってきました。七海さんと友花里さんは麻間さんに、ふたりで話し合った「お尻」について説明をしました。

 ネットショップの「お尻」とは、つまるところ「安心」であること。まずはきちんとした「安心」というベースをつくった上で、ネットショップのカイゼンを進めていくのが正しいマーケティングなのではないかということ。

 その「安心」をお客様に提供するために、配送情報・決済情報など、商品購入からお客様の手元に届くまで、またアフターフォローも含めた情報を「あらかじめわかりやすい」ところに掲載しておくことが大切なこと。そして何より、「どこのどんな会社、どんな人がネットショップを運営しているか」を十分に伝えることが大切なのではないかと、麻間さんに熱弁をしました。

 「どんな人がネットショップを運営しているか」を知ってもらい、お客様に「安心」してもらうために、ネットショップのページに七海さんと友花里さんの名前を出した方がいいと思ったこと。これも麻間さんに説明をしました。

「素晴らしいですね!」

 七海さんと友花里さんの意見を聞くと、麻間さんはふたりを褒めました。

「私がお伝えした『お尻』の意味を十分に理解してくれたカイゼン策だと思います。ネットショップがお客様に安心をしてもらうためには、マジックミラーを使わなくてはいけないんですね」

 七海さんと友花里さんは、麻間さんがまたわけのわからないことを言い出したかと、頭の中に「?」が思い浮かびました。

「マジックミラーって、あのマジックミラーですよね。警察の取り調べ室で使われていそうな・・」

 七海さんがそういうと、麻間さんは頷いていいました。

「そうです。あのこっちからは丸見えだけども、あっちからは単なる鏡にしかみえないマジックミラーです。ネットショップにおいて、お客様との関係は『マジックミラー』でなくてはいけません」

 七海さんと友花里さんはいつも通り麻間さんのいっていることがピンときません。むしろ、麻間さんが続けて何を言い出すかを楽しみにさえなってきました。

「ネットショップとお客様の関係は『マジックミラー』です。つまり、ネットショップからはお客様の姿は見えませんが、お客様からはネットショップの姿が丸見えになります。お客様はいつネットショップのことをみているかわかりません。でも、マジックミラーの向こうから『このネットショップはどんなネットショップなんだろう』といつもどこかで伺っているわけですね」

 友花里さんは自分のメモ帳にネットショップ君とお客様の絵を書き、その間がマジックミラーで仕切られているようなイラストを描きました。

「お客様はマジックミラー越しにネットショップの品定めをしています。ここは信用できるネットショップか、そうでないかを品定めしています。これが『安心』というものですね。重要なのは、多くの場合、お客様はマジックミラー越しからネットショップのことを品定めしているだけで、『ここはどうなってるの?あそこはどうなってるの?』とは聞いてこないんですね。マジックミラーの向こうからは『商品を買うとき』以外は出てきません。だから、ネットショップは可能な限り情報を出しておかなければいけないわけです」

「えっ、でも、もし知りたいことがあれば、連絡してきてくれればいじゃないですか」

 七海さんがそういうと、少し手で遮るようなしぐさをしながら麻間さんはいいました。

「いや、お客様は、何もいわずに去っていきます」

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから