インターネットビジネスの目標設定、予算設定について。三【no.0737】
インターネットビジネスの目標設定、予算設定について考えていきたいと思います。(前回はこちら)
インターネットビジネスの目標を設定するのは、サービスの仕組みをひと通り整え、WEBサイトの運用をスタートさせた後ということになります。インターネットのビジネスは数字の変動が激しいですから、厳密に目標を設定できるのは1年間程度、WEBサイトを運用したくらいでやっと、という方が適当かもしれません。
例えば、1年間ネットショップを運営したとして、当月の売上が100万円、アクセス人数が1万人、転換率が1%、客単価が1万円だったとします。あくまでわかりやすい例です。目先的な目標売上を150万円に設定する場合の指標の設定を考えてみましょう。
ご存じのとおり、売上の公式は「アクセス人数×転換率×客単価」によって成り立ちます。1.5倍の売上目標を設定するためには、この「アクセス人数×転換率×客単価」の計算結果が1.5倍になっていればいいわけです。ですから、売上目標150万円の場合、「アクセス人数1.5万人×転換率1.0%×客単価1万円」でも、「アクセス人数1万人×転換率1.5%×客単価1万円」でも目標を達成できるということになります。
「アクセス人数1万人×転換率1.0%×客単価1.5万円」でも目標達成ができるのですが、少し口を挟むとすれば「客単価を上げて全体の数字を上げる」のはあまり上手くいかない場合が多いように思います。もちろん、ネットショップの商品ラインナップをいじったり、新しい商品をどんどん開発して、ネットショップの立ち位置を探っている途中の場合は、客単価が大きく上下します。しかし、基本的にはネットショップの運営が回ってくると、客単価はだいたい同じようなところに落ち着きます。
この「同じようなところに落ち着いた客単価」を1.5倍に増やそうとするのは簡単なことではありません。なぜならば、「客単価」というのは「=お客様」だからです。100円200円ならまだしも、「客単価」のベースを上げるということは、「お客様そのものを入れ替える」ということに他なりません。ここが「アクセス人数」や「転換率」と異なる部分です。
「客単価」を上げるためによく考えられるのが、「●●●●円以上で送料無料(おまけ付き)」というもの。4,000円前後の客単価を5,000円にするために、5,000円以上でのサービスを提案するという方法。もうひとつは、クロスセル(合わせ買い)を狙うことで商品の購入点数を増やし、客単価を上げようというもの。ともに客単価アップの方法として有効ですが、さすがに1.5倍の客単価を求めるための戦術としては重いです。やっぱり、お客様の財布のヒモというのは限られていますから、限界があるわけです。
「アクセス人数」「転換率」「客単価」の3つの要素をカイゼンして売上目標に対する達成指標を考えていく場合、アップする可能性が高いのは「アクセス人数>>>>>>>転換率>>>客単価」の順番です。「客単価」は前述したとおり「財布のヒモ」の関係上限界があります。めちゃくちゃ客単価を上げたければ、WEBサイトのコンセプトと商品構成を変え、お客様自体を変えるしかありません。10万円でも20万円でも平気で出すお客様を探してくるしかないですよね。(おそらくインターネットでは無理。リアルを介することで可能に)
「転換率」も、1.0%が最大5.0%くらいまでカイゼンするかもしれませんが、いっても5倍です。しかも、「転換率」は割り算で計算される数字なので、アクセス人数の大小によってその数字が変わります。そして基本的には大きい数字の方が良いですが、数字が小さくても「悪い」とは言えません。別のブログでも書きましたが、なかなかの厄介者なのです。
つづきはこちら。
本記事の著者へのお問い合わせはinfo@ecmj.co.jpまで。
カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 3.Eコマースの収益アップ, 5.Eコマースの分析, 7.Eコマースのひと工夫