ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

あなたはインターネット広告を全てストップできる? 【no.0069】

■集客のために広告は必要だ、しかし‥それを止めることはできるか?

 弊社がコンサルティングのご相談をいただいた際に、「一度、今やられている広告を全てストップさせましょう」というご提案をすることがある。これをご提案すると「いやいや、嘘でしょ~。何を言っているのですか?」という「驚いた」というよりも「ご冗談を」というような反応が返ってくるのだけれど、こちらとしてはまったくの本気なのです。

 依然として、ウェブ上でお客様を集めるにあたって、インターネット広告を利用せざるをえない状況というのはあると思います。インターネット広告をかけなくても、お客様が自然と集まってくるようなウェブサイトは、すでにリアルの世界でブランドが浸透していて、ウェブでブランド名が直接検索されるものだと思います。もしくは、インターネット広告ではなく、新聞や雑誌など他の媒体に広告をかけており、そこでお客様が認知をした上で、インターネット上で検索をかけてもらっている、という場合かと思います。

 ほとんどのネットショップ、特にインターネット専業で事業を行っているネットショップについては、リアルの世界での知名度などは一切ないところからのスタートでしょうし、たとえこれまでの母体として実店舗なりメーカーなり製造なり卸なり紙通販なりをやってこられた企業でも、「お客様が勝手にインターネットで我々のブランド名もしくは企業名を検索して、自然にネットショップに訪れて購入し、リピーターになってくれて、気づかないうちにワシャワシャ儲かりハッピー!あー、やっぱりネットショップをつくると良くわからないけれど売上があがるのね」なんてことはなく、その大多数は何かしらの手段でウェブ上からお客様を集めてこなければいけないわけです。

■本当に広告をかけるべきなのは「今」なのか‥?

もちろんこちらとしても、それは重々承知をしています。必ずどこかで、インターネット広告に投資することでレバレッジをかけることが必要になります。ただ、考えてもらいたいことは、「それは今なのか?」ということです。

今、出稿しているインターネット広告(インターネット以外の広告の場合もアリ)は果たして正しいのか。今、出稿しているインターネット広告の内容(テキスト・画像)はマッチングしているのか。今、出稿しているインターネット広告が想定しているお客様の対象は正しいのか。今、出稿しているインターネット広告からのアクセスは果たして売上に繋がっているのか。今、出稿しているインターネット広告から購入していただいているお客様はどのくらいリピートしてくれているのか。今、出稿しているインターネット広告は、結果的に利益をもたらしているのか。

これをしっかり考えた上で、広告戦略を最適化し続けられていますか?

 そもそも、広告を否定しているのではなく、広告を行う前に考えておくことがたくさんある、ということです。そして、そもそも、今、本当に広告以外にお客様を集める方法はないのでしょうか。あるか、ないか、ではなく、「あるか」を徹底的に考えましたか、ということです。広告は麻薬だと言われます。自らが広告を支配しなければいけないはずなのに、いつの間にか広告に支配され、広告が辞められなくなってしまいます。そうなると、こんな妄想が湧いてきます。「広告を辞めると、売上がなくなる!」。本当ですか?

■「お金を使う」選択肢を持つと、人は「頭を使わ」なくなる‥!?

 以前、コンサルティングをさせていただいたネットショップで、月商の20%をリスティング広告に使っている会社がありました。もちろん、「一度、広告を全てストップさせましょう」とご提案し、実際にストップしてもらいました。本人たちはすごく抵抗があったようですが。結果、売上は5%ほど減になりましたが、利益率は倍になりました。つまり、効果がほとんど無いにも関わらず「広告を辞めると、売上がなくなる!」という懸念からリスティング広告を続けていたわけです。

 なぜこうなったか。このネットショップがリスティング広告をかけていた商品は、実は別のネットショップでも売られており、そこでの価格競争に負けていたのです。売れる商品に広告をかけていたのは間違いではなかったのですが、リスティング広告により商品を知ったお客様が最安価格のショップを検索し、そちらで購入していたのでした。つまり、自社の広告費を使って他社の宣伝をしていた、なんて結果になっていたのですね。

 当然、「広告を全てストップ」して、広告戦略どころか販売戦略から練り直しです。同じ商品でも他店ではなく自店を選んでもらえるにはどうするか、次回も自店でリピートしてもらうにはどうすれば良いか。商品ページ・特典・販促企画・商品企画・メールマガジンなどにテコ入れを施した上で、「確実に自社ネットショップで購入いただける・リピートしていただける」自信を持ち、「より長くお客様でいてくれる方が検索するキーワード」を設定して、リスティング広告を再スタートです。結果がついてきたことは言うまでもありません。

 ネットショップのサービスをリリースし、どのような反応があるか。それをマーケティングするため、広告を活用してアクセスを増やすのは良いと思います。あくまで目的がマーケティングリサーチなので。ただ、やみくもに先走ってインターネット広告をかけて、目先の売上が出ている、が、実は利益は出ていない、長くお客様になってもらえてない、というネットショップがたくさんあると思います。勇気を持って、一度、インターネット広告を全てストップしてみたらどうでしょうか。「いやいや、嘘でしょ~。何を言っているのですか?」と言わずに。そして、自社のネットショップでどんな改善ができるかを徹底的に考える。

 「お金を使う」という選択肢があると、人は「頭を使わ」なくなります。一度「頭を使う」方にシフトして、それから「お金を使っ」ても遅くはありません。「頭を使っ」た分だけ、「お金を使う」効果は増大されていくと思いますよ。

 

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 3.Eコマースの収益アップ, 8.Eコマースの集客

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから