ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

オムニチャネル時代のデータマーケティング。顧客IDをキーにして、どんなマーケティングを展開するのか。後編 【no.0030】

(前回のブログを読んでから、こちらをお読みください)
「オムニチャネル時代のデータマーケティング~スーパーの場合~」後編

■「どんな人がいつどのチャネルで何を購入したか」を知ること‥!

 「来店したけど、利用しなかった人」のデータ。実店舗では取れるようになる。つまり、実店舗でのUU数は取れるようになる。どのようなシステムで取れるようになるかというと、顔認証のシステムだ。顔認証のシステムはかなり進んでおり、ちょうど実店舗の監視カメラと同じように、ところどころ顔認証のシステムを入れておけば、正確に個人の判断ができるようになる。これで、実店舗に来店したが利用しなかった人のデータが取れるようになる。問題は紙の方で、カタログを受け取ったこととそこから電話やFAXで購入したことはデータとして残るが、「カタログを受け取ったが購入しなかった人」が「カタログを見たか」については現状データが取れない。苦しいところだが、カタログを受け取った方はある程度の確率で見たと判断するか(そのためにはアンケートをする必要がありそう)、もしくはカタログ自体をデジタル化するのが妥当なラインだろうか。

 お客さんにひとつの顧客IDを持ってもらうことにより、実店舗・紙・PC・スマホの「どんな人がいつどのチャネルで何を購入したか」は確実にわかるようになる。紙を抜いた、実店舗・PC・スマホでは「どんな人がいつどのチャネルで購入しなかった」かがわかるようになる。PC・スマホでは、どんな広告や参照元から流入してきた人がPC・スマホのサイト内をどのように動き、どんな商品をどの順番で閲覧し、どこで購入を決断したか、もしくはどこで購入をやめたか。が、アクセスログのビッグデータ解析をすることでわかるようになる。実際、ネットショップでは買い物カゴに数点商品を入れた上で購入に至らない、という方もけっこういる。サイトや商品、ジャンルによって異なるので、一概には言えないが、購入された方と同じくらい、購入直前でやめてしまった方がいるのではないだろうか。

■それぞれの販売チャネルはどんな役割を果たす‥?

 次に、オムニチャネルでの実店舗・パソコン・スマホ(タブレット)の各々のショップの役割を考えてみる。まず実店舗は、コンセプトを伝える場。内装やレイアウト、デザイン、スーパーとしての想いやイメージを伝えるための場になる。また、商品を見比べる場としても実店舗は重要な役割を果たす。ぐるっと周りを見回して、「感覚的」に気になるものを手に取ることは、ネットショップでは真似ができないことだ。ネットショップでもできる「買う」ということ以外の付加価値を付けることも大切だろう。視覚、触覚、味覚、嗅覚と、五感に訴えかけるようなアプローチを考えていきたい。

 PCでのネットショップにおける役割はまず他店舗との比較。商品の比較はしずらいが、ショップの比較がしやすいのがネットの強みでもある。検索やディレクトリ構造でお客さんのニーズに正確に応えていく仕組みも必要。限定での商品提案や、ロングテールはネットショップだからこそ叶えられるものである。そして、ネットショップの立ち位置として重要なのはマーケティングデータを取得すること。大量の商品の中から露出を強める商品を選んだり、次の商品を企画するためにネットショップのデータをマーチャンダイジングに活用していく。

 そしてスマートフォン、タブレットの立ち位置。ユーザの用途として、もちろん商品の検索、というのはあると思う。が、スマホの役割としては受動的な受け皿ではなく、能動的なアプローチ(プッシュ)のための用途を推したい。実店舗やパソコンでのネットショップで取得したマーケティングデータに基づいて、スマデバにアプローチをする形だ。たとえ、プッシュ型のアプローチができなくても、データマネジメントによる1to1の商品提案アプリをつくるなどして、最適なアプローチを仕掛けていけると思う。
 そしてスーパー戦略での顧客IDを起点にした、顧客×来店×購入データを分析していくとき、基礎としてウォッチしていきたい指標データや集計データを考えてみる。

■オムニチャネル戦略の成果指標はこんな感じ‥!?

【指標データ】
・会員数:顧客IDを持っている人の数。購入IDをどういう形で持ってもらうかは要件等。TSUTAYAのポイントカードみたいなイメージなんだろうけども。
・来店数:まずはチャネル全体でどれくらいのアクセスがあるか、ここのデータを毎日ウォッチしていくことが必要。
・購入数:実店舗でいうレジ、ネットショップでいう買い物カゴを通過した数。つまりレシートの数。これも個別のチャネルで見るのは次で、最初は全体を毎日ウォッチした方が良い。

【集計データ】
・会員の傾向:男女比、年齢比、住んでる場所、家族構成、趣味嗜好などのデータも取れれば良い。逆に、それを取るための仕掛けが必要。
・来店の傾向:チャネル別の来店数、時間帯、来店頻度、滞在時間、PV、会員でない新規の割合など。
・購入の傾向:商品別の売上高と購入数、商品カテゴリ別の売上高と購入数、キャンペーン商品の成果、1レシートあたりの購入数など。

 このあたりを起点にして、運営スタッフが理解し、施策と成果を検証できるようになり次第、その分析項目を増やしていくのがよさそう。
 何か概念的な話ばかりになってしまったので、具体的なところをまた書ければ。

「オムニチャネル時代のデータマーケティング~スーパーの場合~」おわり。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから