ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

「アナログな手間」を割いてくれるお客様はどれくらいいるのか【no.0851】

 リアルを介して、お客様の濃度を探ると、ビジネスの未来が見えてくるのではないかと思います。

 楽天市場やYahoo!ショッピングなど、ショッピングモールでネットショップをやっている事業者の長年の悩み・・それは、自社サイト(独自ドメインサイト)への移行が上手くいかないことです。

 ショッピングモールで売上が立っている。アクセスも十分にある。メールアドレス数(=顧客数)も増えている。それでもショッピングモールでネットショップを運営している事業者は、自社サイトに移行したいはずです。やはり、プラットフォームは自分たちでコントロールできないから、ですね。

 最近、Yahoo!ショッピング出店者のポイント負担が1%から2.5%になるというニュースがありましたが、「私たちは嫌なので拒否します」ということはできないわけです。プラットフォームの意向に従うしかありません。

 「自社サイトに移行したい!」。そんな気持ちを持っていても、ショッピングモールに依存し続けているネットショップが多くあります。ここで直面する現実は、自社サイトに移行してもらうほどネットショプが「お客様にとってブランドがない」ということです。

 ただ、ショッピングモール1本に依存していては、未来はありません。そのための提案です。リアルを介して、お客様の濃度を探るマーケティングを「定期的に」おこなっていこうという話です。

 実店舗や催事という、「お客様が商品を手にして、購入ができる」場所を設置できるならば理想です。お客様の対応をするスペースはなくても、取引先との商談スペースや会議室ならあるという会社も多いでしょう。商品を手にしてもらうため、そこにお客様をお招きするという方法もあります。お客様アンケートやモニター企画を立て、来社してもらう。遠方のお客様であれば、手書きのレビューメッセージを書いてもらう・・などを「定期的に」おこなっていきます。

 ここでのポイントは「ネットショップをみて、ネットショップで買う。キーボードを打って、情報を出す」という、「パソコンの外側」にお客様に出てきてもらうことです。

 時間をつくって足を運んでくれる。恥ずかしい気持ちを持ちながらも対面してくれる。手を動かしてお手紙を書いてくれる。ネットショップのために、このような「アナログな手間」を割いてくれるお客様がどれくらいいるのか、それを知りたいわけです。

 そして大切なのは、このようなリアルを介するアプローチを「定期的に」おこない、数字を取って成果検証を繰り返すことではないでしょうか。

 何をやればお客様が「アナログな手間」を割いてくれるのかはわかりません。ネットショップのコンセプトのエッジの利き方や扱っている商材にもよるでしょう。また、お客様への告知の方法やタイミングにもよるでしょう。ひとつひとつの仕事の「クオリティ」で成果は変わりますから、「答え」はありません。

 「定期的に数字をとって」現実を直視し、何が良かったか・良くなかったか、次の仮説は何かを考え、また定期的にアプローチをおこなっていきましょう。

 お客様が「アナログな手間」をかけてくれることは、お客様が「ファン」になってくれることと同等です。「ファン」のお客様がとれくらいいるかが、自社サイトに移行するための指標になります。ネットショップの「ブランド力」を知るための材料になります。

 もしリアルを介するアプローチをおこなってお客様からまったく反応がなかったとしても落ち込まないでください。「まだまだ違い(=差別性)が甘いのね」と理解すればいいだけです。やってはいけないのは、カイゼンを止めてしまうことです。

 おわり。

 

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから