ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

販売促進費、広告宣伝費の考え方。予算はどうとる?どう使う?9【no.0746】

 販促費の考え方について、共有したいと思います。(前回はこちら

 ネットショップ全体の会計数値から販売促進費を設定するという考え方の他に、もうひとつが個々の商品ごとに販売促進費を設定するという考え方です。

ショッピングモールの必勝法は「スター商品」を作ること

 特に、ショッピングモールで商品を販売している場合、売上のキーになってくるのがアクセスです。ショッピングモールで展開しているネットショップには、お客様はトップページからではなく、商品ページから流入してきます。ショッピングモールのランキングや検索順位への対策が重要になるのはそのためです。

 ショッピングモールの必勝法は、お客様の導線となる「スター商品」を作ることです。もう少し踏み込んでいうと「スター商品ページ」を作ること、ということになります。まずはひとつの商品にお客様を徹底的に落とし込んで「スター商品ページ」をつくり、それを導線としてネットショップの存在を知ってもらうのです。ひとつの「スター商品ページ」ができたら、その柱を2本、3本と増やしていきます。この本数の多さが、ショッピングモールでの売上に比例するといっても過言ではありません。

 販売促進費の観点からいえば、この「スター商品ページ」についての販売促進費率を、ある種「フリー」にするということです。とにかく、「スター商品ページ」にたくさんのアクセスを集め、たくさんの受注を得て、検索順位を上げたりランキングを上げたりしたいわけですから、こちらの商品ページでの販売はたとえ「赤字」になったとしても、販売促進費を限界まで上げていくのもやむなし、という考え方です。

元々「違い」や「差別性」があれば、販売促進費の争いにはならない

 販売促進費、つまりお客様に対するサービスを上げていく限界をどこにもってくるか。それは競合ネットショップのサービス状況によります。本来、自社ネットショップで販売している商品に、競合ネットショップにはない「違い」や「差別性」があれば、販売促進費での争いにはなりません。自社ネットショップと競合ネットショップの商品力に「違い」がなく、同じような商品を販売している場合、販売促進のサービスが「お客様のネットショップ選択」にとってポイントになってきます。

 もちろん、販売促進費を競合ネットショップに対抗できるくらいに上げていくとしても、「最終的に自社に利益が残るか」を計算し、調整をかけなければいけません。

 ひとつの観点は、販売促進費をかけることでアクセスしてくれたお客様が「スター商品ページ」以外もWEBサイトを閲覧してくれ、「スター商品ページ」以外の「適正な利益が残る」商品を購入してくれているのか、ということです。月単位もしくは週単位で、売上と利益の状況を確認する必要があります。商品ごとの売上利益実績表を作成し、利益の悪化を引き起こしている商品があればカイゼンを検討しなくてはいけません。

顧客IDをキーにして「生涯顧客価値(LTV)」を計算する

 もうひとつは、「生涯顧客価値(LTV)」の観点です。「スター商品ページ」から最初の購入をしていただいた時点では「赤字」だったとしても、次回・次々回と購入をし続けてくれるならば、最終的には利益が残るようになるかもしれません。「スター商品ページ」で最初に商品を購入したお客様が、「その後、どのような顧客成長をしているか」を分析し、「顧客別の売上と利益」の想定を立てておきましょう。そのためには、受注IDがキーになる「受注データベース」だけではなく、顧客IDをキーにして集計をすることができる「顧客データベース」を構築しておくことが重要になります。

 「スター商品ページ」を経由したお客様が、最初から思いどおりの顧客成長をしているとは限りません。顧客データベースを作成して、現状の顧客成長をまずは押さえ、カイゼンを繰り返して指標の変化をウォッチし続けたいところです。

 おわり。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから