猪井氏先生は、ホワイトボードに丁寧に書き残しました。【no.0252】
ネットショップのあるあるストーリー、その壱つづき。(前回はこちら)
「まずは笹かまぼこが飽きられたという可能性じゃな。これは今までひとつの商品だけでネットショップをやってきたから、あり得るんじゃないかと。そして、お客様の口に合わなかったという可能性。これは、今まで製造をやってきた感覚からすると、さすがにないだろうと。ここまでが笹かまぼこという商品に関する『リピートされない』理由じゃな」
気づくと、猪井氏(いいし)先生は、会議室のホワイトボードに鬼切社長が話したことを書き出していました。猪井氏先生の字は思いのほか達筆で読みやすく、鬼切社長は驚きました。
「猪井氏先生、字、上手ですね」
「おお、そうか。できるだけ丁寧に書くように心がけとるんじゃ。そうすれば下手でも上手くなってくる。パソコンは1度も使ったことはないが、ホワイトボードは40年前から使っとるからな。ってか、日本で初めにホワイトボード使ったのワシじゃからな」
猪井氏先生はそう言うと、「ワッハッハ!」と短めに笑って、「それはそうと」と呟きました。
「次に、鬼切はん、ネットショップでの見せ方のことについて言ってたよな。スキルがないから気の利いたページがつくれないと。写真もあまり上手く撮れたもの、って感じじゃないんじゃな。しかしながら、『買わない』理由としたらともかく、『リピートしない』理由としては当てはまらないんじゃないか、ということじゃな。これ、先にプロカメラマンにでも頼んでいい写真を載せてたら、3回の広告の効果が数倍になったかもしれんな!」
猪井氏先生がワッハッハ!と笑うと、鬼切社長もそれに合わせてワッハッハ!と笑いました。鬼切社長は、いままで悩んでいたことや、悔しくて思い出すたびに暗い気持ちになっていたことが、少しずつ笑い飛ばせるようになってきていました。それを察したように、猪井氏先生は言いました。
「鬼切はん、笑ったれ笑ったれ。いままでネットショップをやってきて、苦労したこと、思い出したくもないこと、たくさんあると思うわ。鬼切はんの発言や行動、指示に右往左往させてしまったスタッフのみんなに申し訳ない気もわかる。ただ、ただな、もう過去は取り返せないんじゃ。ワシの前じゃ笑い飛ばしたれ。これまでネットショップに支払ってきたお金と時間は勉強代じゃ。でも、鬼切はんは、いま元気にここにおる。それだけで十分だと思うけどな」
そう言うと、また猪井氏先生はワッハッハ!と笑いました。鬼切社長もつられてワッハッハ!と笑いました。猪井氏先生はニコニコしながら続けます。
「ほんで、最後に言ってたのがメールマガジンの問題についてじゃったよな。メールを送った時間が間違ってたんじゃないか、メールの件名が目立たなかったんじゃないか。あとはメールの内容じゃな。1回目は面白くなかったかもしれんが、2回目は面白かったはずだ、みたいな感じじゃったよな」
猪井氏先生は、鬼切社長に確認しながら、「なぜリピートしてくれないのか」の理由をホワイトボードに書き込みました。
「そしたら、他にはどうじゃろうか」
猪井氏先生が聞くと、鬼切社長は「うーん」と唸って黙り込んでしましました。
「鬼切はん、そしたら、ここからは質問形式にしよ。ワシからの質問、1つ目なんじゃけども、おにぎり水産ネットショップが持っている3,000人のメールアドレス、お客様ってどんな人だと思う?」
「えっと、おにぎり水産ネットショップで笹かまぼこを買ってくれた方だと思いますが。違いますか?」
「そうそう、それはそうなんじゃけども、そのお客様って、そもそも『何でおにぎり水産ネットショップで笹かまぼこを買った』んじゃろうか?ということじゃ」
鬼切社長は半年前を思い出しながら、少しずつ話し出しました。
つづきはこちら。
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