採用の市場から、サイト全体を見れる人を探すのは不可能だ。 【no.0163】
(前回のコラムを読まれていない方は、まずこちらからお読みください)
【前回までのあらすじ】
アイドル芸能事務所「マイドル」を立ち上げた石田さんは、「メガネ歴女」の人気投票オーディションサイト「マイドル」を立ち上げた。メインのB美さんを強烈にプッシュしたおかげで「マイドル」の認知は高まり、B美さんを中心としたグループを新たに結成、「マイドル」人気に拍車がかかる。そんなとき、新たなスター候補生D菜さんの登場により、「メガネ納言」サイト立ち上げを決意。しかし、サイトを管理する人の採用で失敗が続き、1年が経過。石田さんはある決断をする・・
*インターネット担当は自分で育てるしかない!
この1年間、石田さんは採用の市場からWebサイトの全体を見渡せ管理のできる人間が採れると思っていた。しかし、採用に踏み切った2人はそれぞれ得意分野があるものの、あくまでWebサイトを成長させていく上での「手段」のひとつ。石田さんは、「目的」から「手段」を選択できる人を探していたが、そんな人を待っていたら時間がいくらあっても足りない、ということに気づいた。
そうなのだ。インターネットの世界はたかだか15年くらい。インターネット業界、という「業種」が出来あがってきたばかりで、「職種」としてのインターネット担当というのはまだまだいないのだな、と。そんな限られた層が、なんのブランドもない芸能事務所のWebサイト担当として入社してくれるわけがない。そう思った石田さんの決断はひとつだった。「だったら、ワシが育てるしかない・・!」
石田さんはすぐさま、採用の矛先を変えた。まずはアイドルが好きな人、詳しい人、アイドルが好きなファンがどんな人達かを知っている人、これが最優先。パソコンのスキルは、インターネットを触ったことがあり、エクセルとワードをかじっていれば良し。Webサイト担当のような専門性や高いスキルは求めないことにした。すると、すぐにF次郎くんという子が見つかった。もともと、アイドル系の実店舗でショップ店員をしていて、パソコンを使って、発注や入荷の管理をしていたらしい。これまで経験してきた仕事も、きっと「メガネ納言」のサイトで役立つはずだ。石田さんは、F次郎くんを採用することにした。
*F次郎くんは仕事を理解して、頑張っているのだが
入社から一週間、F次郎くんは「メガネ歴女」のサイトを学んでいった。サイトの仕組みは簡単だ。候補生たちの写真を追加したり、ブログをアップしたり、表示する順番を入れ替えたりする。日々、サイトのアクセスと投票の効果を見ながら、テコ入れをするところを探していく。そしてまた、サイトに変化をもたらせて、サイトのデータを確認し、自分が行った施策を定量的に評価する。この繰り返しだ。石田さんは、F次郎くんにひと通りの業務を教え、いよいよ「メガネ納言」のサイトを任せることにした。
「メガネ納言」のサイトには、すでにD菜さんというB美さんにも負けないスター候補がいる。サイトが正式にオープンする前からD菜さんには熱狂的なファンがついており、「メガネ納言」のサイトがリリースされればすぐに反響があるだろう。「メガネ歴女」のサイトで培ったノウハウどおりに更新を繰り返していけば、すぐに第二第三のD菜さんをプロデュースできるまで成長するかもしれない。いや、するはずだ。石田さんは期待に胸を膨らませた。
F次郎くんは仕事が大好きだった。毎日、23時近くまで残って仕事をしていた。石田さんも、そのF次郎くんの頑張りに感心していました。だから、F次郎くんをすぐに信用した。「あのくらい頑張っているのだから、すぐに結果に繋がるだろう。これでマイドルも一気に拡大だ」と。しかし、F次郎くんからの週次の報告は期待にそぐわないものだった。翌週の報告も、期待どおりにはいかない。その翌週も数字は上がっていませんでした。
F次郎くんのことは信用しているが、これは何かがおかしいのではないか。石田さんはF次郎くんを呼んで、緊急のミーティングを行うことにしました。
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