ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

具体事例:テレビに放送される!なにをする?前編【no.2159】

 少し前のことなのだが、顧問先様との定例マーケティング会議でこんなことがあった。はっきりとは書けないので、ちょっとだけ事実を変えて説明していく・・

 その顧問先様とのマーケティング定例会議は、火曜の午前中におこなっていた。ただ、その日は顧問先様の常務(常務も会議に出席していた)に予定があるとのことで、火曜の午後イチからの会議になった。

*「仕入れ型」ECの売上構成

 通常の定例会議はECサイトのデータの確認から進む。ECMJコラムでも「数値管理表」についてたびたび書いているが、前回の定例会議から今回の定例会議にかけてのデータを確認し、変化をみていくのだ。それに合わせて、要因の整理をおこなっていく。自社の改善施策がデータにどんな影響を及ぼしているのか、逆にデータが変化しているけれども要因がわからないものは何か、などを議論し、「成果の原因」を探していくのだ。そして、この「成果の原因」が次の改善施策につながっていくことになる。

 顧問先様のECは、「仕入れ型」のネットショップだった。様々なメーカーから商品を仕入れ、実店舗で販売をするビジネスが基本。新しい販路としてネットショップに挑戦をしていた。

 何十というメーカーの商品をネットショップで取り扱ってはいるが、実際の売上構成をみると数ブランドの商品が売上の8割を占めている。こういったECの基本戦略は「売れるブランドのシェアをさらに伸ばすこと。そして、次の柱になるブランドを見つけ出すこと」になる。

*テレビに紹介されたのは、いつ?

 定例会議の序盤だっただろうか。売上構成の8割に属する、柱のメーカーの商品の話題になった。このメーカーの売上はさらに伸ばせないのか、という話から、最近のメーカーの動きはどうなのか、という話に展開し、メーカーのホームページを確認しようという流れになった。

 メーカーのホームページをみると、ある人気テレビ番組(こだわりの商品を面白く紹介する番組)で商品が紹介されたことがわかった。ホームページのトップにデカデカと番組名が掲載されていたのだ。

 こういった場合、番組で紹介された後、いや番組で紹介された瞬間からECサイトに反響が出る。お客様がスマートフォンですぐに情報を探しはじめるのだ。だから、このメーカーの商品のECサイトにおける「セッション数」「受注数」そして「売上」は伸びているはずなのだが・・形跡がない。番組で紹介されたが、その影響がこのネットショップまで回ってこなかったのか。ある程度の対策はしているはずなのだが・・と思ったら、なんと番組の放送日が「その日の夜」だったのだ。この日は午後イチの会議だったので、ほんの6時間後くらいの放送。

*「変化」にスピーディな対応ができるか

 実はこういったケースはよくある。メーカーにテレビの取材がきて、放送日が確定した連絡がきている。しかし、小売店はその事実を知らない。事実を知らないまま、テレビで商品が紹介され一気にお客様が流れてくる。

 普段の日よりもセッション数は上がり、受注数も上がり、周辺商品も多少売れるので売上も上がる。ネットショップにとっては「良かったね」という話なのではあるが、実際はもっともっと売上は取れたはず、なのである。ここを「良かったね」にしないことが大切なのだ。

 中小企業のECビジネス、そしてEC専業ではないEC、後発参入のECサイトにとって、「スピード」というのは数少ない逆転のチャンスになる。基本的には資本力も負けているのが普通、ノウハウが少ないのも普通、先行参入にお客様を取られているのが普通、になるので、「市場環境の変化」にいかにスピディーに対応するかがのし上がるポイントになります。

 「今夜の放送」。この事実を知った瞬間から、マーケティング定例会議は「テレビ番組対策会議」となりました。

 さて、「テレビに放送される」という事実から、マーケティングをどこまで掘り下げていけるのか?

(次回につづきます)

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから