ペヤングの「まるか食品」は「非上場のオーナー企業」だから興味深い【no.0449】
松屋の「プレミアム牛めし」の発売は実質的な客単価アップである、という話を以前のブログで書いたが、ついに吉野家も「牛丼」の値上げを発表した。デフレーションの時代は終わり、物価は上がるが所得は上がらない「スタグフレーション」の時代が我々に近づいている。2015年はスタグフレーションの時代になる。そして、2015年まで、あと半年もない。
2014年がどんな年だったかを振り返りつつ、2015年のインターネット市場、小売市場、そして日本経済がどう動いていくのかなぁと考えながら過ごしている今日この頃なのですが、こんな時期こんな興味深い問題が!ということが起こった。みなさんご存じかと思いますが、「ペヤング」の虫混入問題。これである。
*「ペヤング」の虫混入問題とは
まずは、この問題の事実関係をもう一度、共有してみましょう。
・12月2日、消費者のひとりが「ペヤング ハーフ&ハーフ激辛やきそば」にゴキブリとみられる虫が入った画像を掲載し、ネットで拡散した。
・製造・販売元の「まるか食品」は3日に現物を回収し、外部の検査機関に分析を依頼。社内でも検証した結果、「製造過程で混入した可能性も否定できない」と判断した。
・同社は11日、「ペヤング」全24商品の生産・販売を休止することを発表した。販売済みの全商品の返金・返品にも応じる。
・大手のスーパーやコンビニなどは、取り扱いのある全国の店舗で11日までに、店頭から商品を撤去した。
・同社は今後、製造工場内の排水設備を点検するなどして、虫が入り込む隙間がないかを確認する。また、即席麺の下側に異物があっても感知できる装置を導入するなど、製造ラインを改修し、品質の管理を徹底する方針。
・「ペヤングソースやきそば」は1975年発売のロングセラー。販売会社「まるか商事」の2013年度の売上高は約130億円にのぼる。
・営業所と合わせた従業員は正社員のみ約140人だといい、会社側は「雇用は維持する」としている。
事実関係として、ここまで。すべて朝日新聞デジタル版(12/12)の記事からの抜粋です。
この一連の問題を、どのように捉えたか。意見は様々だと思う。
*ワタミ・ゼンショー・マクドナルドとペヤング問題の違い
うわーゴキブリの写真、気持ち悪いーと思っただけの人もいるだろうし、今まで気にしてなかったから食っちゃったかもと思った人もいるでしょう。ソーシャルメディアの拡散性を問題視している人もいるし、2014年も多くの課題があった「ソーシャルリスク」について改めて感じる問題でもあった。「ソーシャルメディアのせいで問題が大きくなり過ぎなのではないか」という意見もあるし、このニュースについて面白おかしく報道する大手マスメディアに対し、警鐘を鳴らす人もいる。販売停止になったペヤングがオークションサイトで販売されていたりして、話題がすでにそちらの方にいってしまった部分もある。
ワタミやゼンショー(すき家・なか卯)、マクドナルドの中に潜んでいた問題が、ソーシャルメディアを中心に拡散され、結果経営の大打撃となった2014年なのだが、今回のこの一件により、「ペヤング」を生産・販売する「まるか食品」が倒産してしまうのではないかと危惧する声もある。しかし、同じ食品業界のトラブルでも、ワタミ・ゼンショー・マクドナルドの問題とペヤングの問題は中身が違う。
*新生「ペヤング」の再販売で「まるか食品」はV字回復する
そして、最低でも数ヶ月の販売停止、工場設備の見直し、さらに雇用を維持すると宣言をしていることから、「まるか食品は大丈夫か?」「ペヤングがこのまま無くなってしまうのではないか?」と思っている人がいるかもしれないが、断言すると「まるか食品」が倒産することはない。(今まで大きな問題を隠していた、とかではない限り)。そして、数ヶ月後、新生「ペヤング」の再販売をスタートした「まるか食品」の売上はV字回復をしていくと思う。
今回のこの問題の興味深いところは、「まるか食品」が「非上場のオーナー企業」だというところなのである。
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