ファミリーマートとサークルKサンクスの経営統合が業界にもたらす影響とは【no.0533】
ファミリーマートと、サークルKサンクスを傘下にもつユニーグループ・ホールディングスが、経営統合に向け本格的な交渉に入るようです。
記憶にある方もいると思いますが、サークルKサンクスの売却話は今に始まったことではありません。昨年(2014年)の夏にも、ユニーグループ・ホールディングスが売却を検討している、というニュースがありました。当時、予想されていたのは1000億円規模の売却額。仮に、業界第2位のローソン、もしくは第3位のファミリーマートが買収すれば、2014年7月の時点でセブンイレブンを抜き、店舗数において業界首位になる、ということでした。
ちなみにサークルKサンクスの全国の店舗数合計は、当時で6273店舗。もしも1000億円の売却額になるとすれば1店舗あたり約1600万円でのお買い上げということになります。コンビニ単体店舗の利益構造はわかりませんが、1店舗1600万円ならば「結構、お得なのでは!?」と思ってしまいました。そんなことがあったのが去年の夏のことです。
ユニーグループ・ホールディングの大株主は、ファミリーマートの筆頭株主である伊藤忠商事です。ですから、昨年の売却話のときも、まず買収先の第一候補と予想されたファミリーマートでした。しかし、コンビニという実店舗の流通を押さえたい会社も他にあるのではないかと思っていました。楽天とYahoo!です。この2社はEコマース業界では先頭を走っていますが、実店舗の流通を押さえられてはいません。ましてや、オムニチャネル化が進んでいる時代です。物流のオムニチャネル拠点としても、ちょうど良いタイミングでの売却話だったはずです。
昨年の秋から、サークルKサンクスと楽天市場がポイントカードの連動をスタートさせました。コンビニでのお買い物でも楽天ポイントが溜まる「Rポイントカード」です。オムニチャネル戦略を意識したこのポイント連動は、一昨年(2013年)の秋から計画されていたことであり、サークルKサンクスの最初の売却話があった昨夏よりも半年以上前のことです。ですから、昨年の売却話の時点で、もしかしたらすんなり楽天と経営統合という可能性もあったのかもしません。
第一、ファミリーマートはTポイントカードとポイント連動をしています。ファミリーマートとサークルKサンクスが経営統合を果たすと、TポイントカードとRポイントカードのどちらが優先されることになるのか。ここも注目です。さらに言えば、TポイントカードはYahoo!IDと連動していますから、間接的にYahoo!も絡んでくることになり、より興味深い選択になりそうです。
ファミリーマートとサークルKサンクスが経営統合をすると、コンビニの売上としてはセブンイレブンに次ぐ業界2位となります。ファミリーマートの上田会長は「ブランドを3つも新会社にさげてという形態はありえない。一緒のブランドにする必要がある」と話しており、セブンイレブンとローソンの間に新しいブランドが入ってくることになりそうです。
セブンアンドアイグループは業界の先頭を切ってオムニチャネル戦略を推進しています。つい先日も、ネットスーパー専門の倉庫を作ったことで話題になりました。着々とオムニチャネル化を進めているようです。小売り業界の流れ、オムニチャネル戦略の流れとして「セブンアンドアイ対Amazon」というのが一般的な図式でしたが、果たしてファミリーマートとサークルKサンクスによる新ブランドがここに割って入るのか。そしてコンビニ業界第3位となるローソン、イオンそして三菱商事系がオムニチャネルにどこから参入してくるのか、春から秋にかけてまた大きな波が動きそう。注目です。
おわり。
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