ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

広告宣伝費をかけなくてもお客様が買ってくれる状態ってどんな状態?【no.1029】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

「美容系とか健康食品系の会社が、まったく広告宣伝をしなくても売れるようになったら、すごく『利益率の高い』モデルができて、『価値のある』ネットショップができるんじゃないかなぁ。そんなことあるのか、わからないけれども」

 七海さんがそういうと、鬼切社長はうなずいてひと言いいました。

「ありえます」

 七海さんは驚きました。友花里さんは「それってどういう状態ですか?」と鬼切社長に聞きました。

「そもそもの利益率が高く、しかも広告宣伝費がかかっていないというモデルは十分にありえます。まず、広告宣伝費をかけていない、ということから考えてもらいたいのですが、広告宣伝費をかけなくてもお客様が買ってくれる状態とは、どんな状態だと思いますか?友花里さん」

 鬼切社長は友花里さんの方を向いていいました。

「広告宣伝費をかけなくてもお客様が商品を買ってくれるってことは、広告宣伝費をかけなくてもお客様がなんらかの形で商品のことを『知ってくれている』状態なのだと思います。例えば、商品がテレビで紹介されたとか、雑誌で取り上げられたとかになったら、自分たちが広告宣伝費をかけなくてもお客様が商品のことを『知ってくれ』ますよね」

 鬼切社長は友花里さんの意見をかみ砕いてから回答しました。

「友花里さんのいったことも、広告宣伝費をかけなくてもお客様が買ってくれる状態のひとつですね。ただ、メディアに取り上げられてお客様が寄ってきてくれるのはごくごく稀なパターンです。また、自分たちの努力によって起こせることでもありません。アウトオブコントロール、ということですね。そして多くの場合、メディアによって集まってきたお客様は一気に押し寄せて一気に引いていってしまいます。そういうことあるでしょう、七海さん」

「うっ」。七海さんは痛いところを突かれたというような反応をしました。鬼切社長はさらに続けて話します。

「メディアによって集まったお客様は一気に押し寄せて、一気に引く。もうひとつ、逆のこともいえます。メディアによって集まったサービスは、『本質を見失う』ということです。自分たちの努力以外のところで一気にお客様が増えてしまったがために、どこまでが自分たちの力で、どこまでがメディアの力なのかがわからなくなるんですね。そしてほとんどの場合、自分たちの力を『過剰』に高く設定してしまいます。本当の意味で『勝って兜の緒を締めよ』になれるのは一部です。なので、友花里さんの意見もひとつではあるのですが、もっと本質的な広告宣伝費をかけなくても買ってもらえる状態、ありませんかね?じゃあ、七海さんどうですか」

 友花里さんと鬼切社長が議論をするタイミングだと思っていた七海さんは不意を突かれました。「えっとですねぇ。そうですねぇ」と、目線を天井に向けながら何度か繰り返しました。

「うーんと、広告宣伝費をかけなくてもお客様がきてくれて買ってくれる状態っていうのは、お客様がすでにどこかで『知っている』状態だと思うんですね。つまりー、会社としては広告宣伝費をかけてわざわざ『知って』もらえなくてもいいってことだから・・口コミとかですかね。口コミしてもらえている商品だったら広告宣伝費をかける必要はないんじゃないかって思います!」

 七海さんがひらめいたようにいうと、鬼切社長は驚いた顔をしました。

「こんな展開になると思っていなかったんですが、正解です。口コミ、人からの噂、これを『ブランド』といいます」

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから