ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

単品通販のポイントは顧客軸のマーケティングを掘り下げること【no.0968】

 これまでECMJでは単品通販の会社さんのコンサルティングを3社、取り組んできました。ブログを読まれている方の中には単品通販のEコマースをやられている方もいるかと思います。マーケティングの基本軸について、考えていきたいと思います。

 単品通販の販売戦略の特徴は、マーケティングの軸を完全に「お客様」側の方にもっていくことだと感じました。実は私自身がネットショップの運営をやっていたときは、ジュリー・バッグ・お財布といったレディース雑貨を取り扱っていましたので、コンサルティングをおこないながら気がついた部分でもありました。

 顧客軸でマーケティングを進めていくのはあらゆる業界での基本です。その中でも、単品通販のEコマースを成長させるためには徹底した「顧客軸」のマーケティングが必要になります。

 単品通販でも様々な会社があります。季節商品が定期的に発売されるネットショップもあれば、同じ商品だけで年間の売上を作っている会社もあります。ECMJが担当したネットショップでは、商品数が4商品だけしかない単品通販の会社がありました。

 商品は4商品ですから、新商品発売のマーケティングはできません。同じ商品をいかにしてお客様に買い続けてもらうか。そのためにお客様にどんなアプローチをすればより息の長いお客様に成長してくれるのか。これがテーマになります。

 いわゆるCRMの基本となるマーケティングです。過去のお客様の購買パターン、購買サイクルを分析します。購買パターン、購買サイクルにしたがってお客様を分類して、それぞれに合うと思われるオファーを提案していきます。メルマガの配信時間を変え、メルマガの内容を変え、メルマガの特典をお客様のセグメントによって変えていきます。

 セグメンテーションしたアプローチが必ず結果に結びつくとは限りません。方向は正しくても、クオリティが足りていない場合もあります。成果をデータで検証しながら、「セグメント×アプローチ」に細かい改善を重ねていきます。1%の改善を積み重ねる仕事をした上で、最適なセグメントに対する最適なアプローチを知ることができます。根気仕事です。

 もうひとつ顧客のサイクルとともに分析をしたのが、商品のアップセルについてでした。こちらのネットショップで取り扱っている4商品のうち、基本となる商品A、あとの3つは商品Aのバージョンアップ商品のようなものでした。

 ネットショップとしてより販売に注力したいのは商品A以外の3商品です。商品Aに比べると値段も高く利益も多くとることができます。ただ、市場としてもっとも認知されているのは商品Aです。商品Aから入ってきたお客様にバージョンアップ版の3商品を知っていただいて、そちらに流れてもらう。販売側としてはこのストーリーになるようネットショップを運営していました。

 しかし、思ったよりも引きあがりが感じられなかったのも事実。そこで一定期間に新規購入をしたお客様がどの商品を継続購入していたのかをデータで出したんですね。驚くことに、リピートを続けているお客様のほとんどが商品Aを購入されている方。バージョンアップ版の商品から続けてバージョンアップ版の商品にリピートしているお客様はほぼゼロでした。

 つまり、商品Aを購入したお客様は、一度バージョンアップ版の商品を試しても、結果的に商品Aに戻ってきてしまっていたことがわかったのです。そこで、ネットショップの戦略としては商品Aの購入サイクルをいかに活性化させるか、まったく別の商品Bを開発するか否かという方向に動き始めました。

 購買パターン、購買サイクルの分析、アップセルの分析、ともに単品通販の戦略としてはセオリーだと思います。ただ問題は細かい改善を重ね続けられないこと。条件が縛られているからこそ、きめ細やかな施策が必要になるのではないかと思います。

 おわり。

 

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから