人は、お金を使うと頭を使わなくなる。汗水も流さなくなる。だから勝てない。前編【no.0662】
「人は、お金を使うと頭を使わなくなる」というのがECMJの考え方であり、ECMJのコンサルティングクライアントの皆さんにも、「頭の使う」ことを徹底しておこなってもらいます。
ネットショップやホームページ、WEBサービスの企画・構築・運用をおこなっていくにあたって、世の中には様々なソリューションが用意されています。WEBサイトの企画をおこなってくれる会社があれば、WEBサイトの制作・システムの構築をしてくれる会社もある。WEBサイトの運用を代行してくれる会社だってあります。広告集客や物流だって、手に余るほどのソリューションがあります。もはや「ソリューションが足りない」という時代ではありません。
お金をかければ、インターネットビジネスのすべてを用意することができます。けれども、お金をかけることは誰でもできることです。お金をかければ、スキルやノウハウ、経験を積む「時間」を買うことができますし、自分の実務が大幅に減るわけですから、楽チンです。たしかに楽チンですが、「お金を使う」環境に身を置きつづけると、頭が化石化してきます。自分はお金を出すだけになり、手段を外部に頼り続けることになります。もちろん、外部の人間は商品やサービスの専門家ではありませんから、最終的には「どこにでもある」提案に収束するわけです。
人は、お金を使うことを覚えると、頭を使わなくなります。思考が止まります。「そんなん、お金かけりゃいい話じゃないですか」という方向に話がいきます。本来は、地味で面倒で手間な仕事こそ、市場を突き抜け、競合他店との「違い」をつくる源泉になるはずなのに、それをしなくなります。お金をかけつづけた先には「違い」などありません。「違い」は頭を使うところ、もっといえば、汗水を流すところから生まれます。お金をかけると、さらにお金をかけるしか道はありません。もっとお金をもっている会社が市場に参入してきたら、その時点でアウトです。
この「人は、お金を使うと頭を使わなくなる」という考え方ですが、この考え方をもっともよく使うのは、「人に知ってもらうための仕事」です。つまり、インターネットビジネスへの集客、ということになります。どうしてもこの部分で、WEBサイト運用の早い時期から「広告(インターネット・リアル両方)」に頼ってしまう傾向があります。
以前、私がコラムを連載していた日本ネット経済新聞のアンケートで興味深いものがありました。Eコマースの事業者に対しての「ネットショップの認知向上、集客はどのようにおこなっているか」というアンケートです。弊社が毎月のECMJセミナーを始めたころなので、2013年の夏・秋の記事だったと思います。結果として、9割以上の事業者が、認知向上、集客の手段として「広告」とこたえていたのです。2013年というと、日本のEコマースが本格的にスタートして10年くらいのタイミングですが、「時代が変わっても、やっぱり認知向上、集客は広告頼みなのか!」と驚いた記憶があります。
ちなみにいうと、広告自体を否定しているわけではありません。インターネットビジネスの成長のフェイズや求められている成長スピードによって、広告の力は必ず必要になります。もちろん、広告が嫌いなわけでもありません。私自身、ネットショップ運営者時代の成果は広告戦略によってもたらされたものだと思っていますし、Yahoo!ショッピングの出店ガイドに「広告の使い方が上手い店長さん」ということで取材記事が載っていたこともあります。なので、広告は好きなんですよ、私。でも、広告に頼る前に、もっと頭を使ってやることがあるだろう、と思うわけです。
詰まるところ、インターネットビジネスって、「いかに新規顧客を増やせるか」ということに集約されるところがあるので、広告に頼りたくなる気持ちもわかります。
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