大企業になると、どうしても「つまらなく」なってしまう理由【no.0659】
タイトルですが、特に大企業を否定したいわけではありません。こうならざるをえないんだろうなぁ~という話です。
現在のどんな大企業も昔はベンチャー企業、中小企業だったわけです。最初から大企業だったわけではありません。ベンチャー企業、中小企業が成長して大企業になっていく過程でどんなことが起こるのか、そこに大企業が「つまらなく」なってしまう理由があるように思います。
ビジネスには黎明期・成長期・成熟期・衰退期と呼ばれる4つのフェイズがあることはご存じの方も多いと思います。
ビジネスの黎明期。会社・事業を立ち上げたばかりの頃です。このフェイズでは、どの会社もベンチャー企業という呼び方に位置づけられると思います。「世の中をこう変えたい」という強い思いや、「いずれ世の中はこうなるだろう」という予測をもって起業し、サービスをスタートさせます。
しかし、そこに市場はまだありません。潜在的な市場があったとしても、解決策としてのサービス認知がない状態ですから、顧客が露見してきません。もちろん、新規に立ち上げた会社・サービスですから、信用もありません。このフェイズでは、サービスを提供するため、サービスの価値を知ってもらうために、手とり足とりで顧客をフォローします。泥臭い仕事です。
少ない人数で顧客をフォローしなくてはいけません。トイレ掃除から戦略資料提案、製品開発と窓ふきも全部自分の仕事です。顧客と接しながらサービスを固めていくことになります。必然的に、「手づくり」の要素が多くなります。だから、頭を毎日フルに使うことになります。そして、スタッフは賢くなります。現在の大企業でも、創業に近い入社メンバーは、仕事ができる方が多いです。
次第に事例が集まり、実績が溜まり、自分たち以外の他人が自社のサービスを噂してくれるようになると、市場が成長期に入ります。需要の拡大です。成長期のフェイズでは、いままで「手づくり」に近かったサービスがパッケージ化されます。「需要>供給」の時代ですから、パッケージ化した方が売りやすいわけです。特に成功したベンチャー企業が大企業へと成長していきます。
どんどん売るためにはどんどん人が必要になります。そのため、人をどんどん採用することになります。元々10人だったスタッフが50人100人と増えていきます。黎明期はサービスと同様、「手づくり」の人財づくりをすることが可能でしたが、一気に人数が増えると「手づくり」の人財育成ができなくなります。ここもサービスと同様に、教育がパッケージ化されます。人に合わせる「人財育成」から、会社に合わせる「人材育成」に変わるのです。
個の力で前進してきた「空軍」型の組織から、隊長を中心とした「陸軍」型の組織に変わっていきます。人材が「兵隊」になります。兵隊にはシンプルでわかりやすい指示が必要です。極端にいえば、「顧客都合のサービス提供」ではなく「会社都合のサービス提供」にシフトしていきます。数値目標、KPI、ノルマなんて言葉で行動をするようになります。「今月は広告500万円売ってこい」みたいなやつですね。「兵隊」の目標は常に「目先」だけにあります。
これが大企業がつまらなくなってしまう理由(ベンチャー企業がつまらなくなってしまう理由)です。某ITの大企業も某ECの大企業も、元々はコンサルティング的な要素が強かったものの、結局は「モノ売り」になってしまいました。しかし、ここからは成熟期を経て衰退期のフェイズ。次の新しい価値は、コンサルティングにある。そこに気づければ、大企業もまた面白くなるかもしれません。
おわり。
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