「嫌なこと、でも本当はやらなきゃいけないこと」は、人にやらせる前にまず自分から【no.0565】
「龍角散」という名前を聞いたことがある人は多いと思います。千代田区にある製薬会社なんですけども、「たん、せき、のどあれ、こえ」に効く、「のど系」の薬を販売している会社なんですね。まあ、テレビCMも昔からやってるんで、知っている人の方が多いと思います。
「らくらく服薬ゼリー」のテレビCMのサンプルは・・
その「龍角散」のテレビCMで、最近よく見かけるのが、「らくらく服薬ゼリー」という薬のカプセルをゼリーで包んで飲みやすくする商品なんですが、このテレビCMも見たことがある人、多いと思います。そのCM内で、実際に「らくらく服薬ゼリー」を使用すると、どのように薬が口から胃まで到達しているのかのレントゲン映像(で、いいのかな?)が映るんですが、右下の方にご注目。
「被験者:代表取締役社長 藤井隆太」と出てるんですね。社長自らが被験者になっているわけです。
「龍角散」は社名もそのまま「株式会社龍角散」です。ルーツは、江戸中期に秋田の佐竹藩で伝えられてきた家伝薬にあり、それを「藤井正亭治」さんが改良を加えて「龍角散」という名前をつけ、東京の東神田で創業したのが明治4年、ということなんですね。なので、現在の「藤井隆太」社長は、創業者の「藤井正亭治」さんの子孫なのですね。
つまり、生粋のオーナー経営者ということになります。「被験者はまず自分」。なんとも自社の商品にプライドと誇りを持った行動ではないですか。非上場のオーナー企業だからこそできることなのかもしれません。
仲間たちを引っ張っていく人間の絶対的なルール
「人にやらせる前にまず自分から」。これはリーダーとして、仲間たちを引っ張っていくものの、絶対的なルールだと思います。先日は、こんな話を聞きました。
とんでもない営業セミナーがあるというのです。営業するのは、某サービスの月額契約です。それを、一般のご自宅に1件1件、飛び込み営業をしていきます。1日、ひたすら飛び込み営業をして、1件の契約が取れれば合格です。「合格賞」をもらうことができます。ただ、その1件を取るのが難しい。飛び込み営業の難しさ、経験がある方はわかると思います。ましてや個人宅です。法人ではありません。
さらに、その営業セミナーが恐ろしいのは、前日の営業練習です。教師と徹底的にシミュレーションを行うというのです。ただひたすら教師に営業し、縦横斜め、上下、あらゆる方向に想定した問答が繰り替えされます。営業するのは個人です。どんな反応が来るかわかりません。そのシミュレーションでは、泣くまで追いつめられるというのです。
そして、その翌日が1日飛び込み営業の日です。シミュレーション後は興奮のためほとんど眠れず、その体調のまま飛び込み営業に向かわなければいけません。10件、20件、飛び込み営業をして契約が取れるほど甘くはありません。100件、200件が当たり前です。そのくらい回ったとしても、1件も取れないかもしれません。
僕が行けば、部下が全員断れなくなっちゃうんで・・
私が話を聞いた方は、1日に300件を飛び込み営業しました。そして、取れた契約は2件。1件目を取るのに200件以上を回りました。1件でも契約を取れれば合格ですから、それ以上回る必要はないのですが、なぜその方が300件回り続けたか。それは、過去最高記録のレジェンドが「1日3件」だったかららしいんですね。あと「1件だけ」及ばなかったわけです。
私は思わず「いや、なんで好んでそんな営業セミナーに行くんですか。わざわざ」と聞くと、その方はひと言「僕が行けば、部下が全員断れなくなっちゃうんで・・」。社長に言われたからとか、自分の実力をアップさせたいから、とかではなくて(それもあるんでしょうが)、まず最初に出てきたのは「嫌なことはまず自分から」という言葉。これぞリーダーだなと。
もちろん、「嫌なこと」とは「嫌だけど、本当はやらなきゃいけないこと」なんですよね。
おわり。
カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 4.Eコマースの人財育成