ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

委託・受注発注・ドロップシッピングで取扱い商品数を増やす【no.0462】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。

(前回はこちら

「まあ、500,000商品の在庫を持っているネットショップは、大体が実店舗をやられているところか、問屋をやられているか、どちらかでしょうね」

麻間(あさま)さんは逸れた話を元に戻すように言いました。

「インターネット専業の会社が500,000もの商品を扱っているとしたら、あり得るのは問屋からの委託の商品を持っている可能性がありますね」

「つまり、商品を問屋から借りている状態ってことですか?」。鬼切社長が聞きました。

「そうですね。委託で商品を持っておくことは、おにぎり水産のような食品を取り扱うネットショップではやりにくい部分があるのですが、例えばDIY工具とかアウトドア用品とか、食品以外のカテゴリの商材であれば比較的やりやすいですよね」

「確かに。麻間さん、もしも500,000商品、すべてが委託の商品であれば、リスクがミニマムになるということですよね?」

「まあ、理論上はそうなるのですが、それをやると問屋側のリスクが最大になってしまうので、なかなか500,000商品をかき集めることは難しいのではないかと思います。実際には、在庫として持っている商品と委託の商品を混ぜて500,000商品を集めるのか、自社オリジナルの商品と委託の商品を混ぜて500,000商品を集めるのか、というような話になります」

「あー、確かにそうですね。すべての商品が委託商品だと、商品を出している問屋が困っちゃいますもんね」

「鬼切社長、そうなのですよ。しかも、委託の商品って、意外と管理コストがかかるんですよね。同一の商品でも、委託として借りた年月によって返却日が異なるので、商品1つ1つを別々の商品コードで管理しなくてはいけなくなります。商品IDの他に、委託コードを振っておくようなイメージですね。これは厄介ですよ」

「これと、これが別々ってことですか?」。鬼切社長は、会議室のテーブルの上に置いてあるペットボトルのお茶を並べて言いました。

「そうですね。販売出荷でどの商品が出たかまで管理をしなくてはいけませんから、意外に大変です。データがずれると、商品を買い取ることになる条件の場合もありますしね。委託と同じように『在庫を持たない』ようにして500,000商品を集めたいならば、受注発注のスタイルだとより安全ですね」

「お客様からの商品の注文後に、仕入先に商品を発注するアレですね」。鬼切社長は「それは知っているぞ」といった感じでいいました。

「受注発注のスタイルだと、問屋も自社に在庫を持つことになりますから他社の受注も同時にコントロールができて安全ですね。もちろん、自社の在庫にもなりませんし、キャッシュフローも安定します。ただ、お客様の注文から発送まで、どうしてもタイムラグが起きてしまうのが難点ですね」

「そうですね。自社の倉庫に、在庫がないわけですからね」

「発注書がきて、問屋に在庫があればすぐに対応して、自社倉庫に商品が届いて、お客様に発送して。それがスムーズにできたとしても、最低2日程のタイムラグができそうです。いまのEコマースの業界は、とにかく物流スピードが命の部分がありますから、これはマイナス要素になってしまいますよね」

「お客様は『買ったときが、使いたいとき』だからですね」。鬼切社長が猪井氏(いいし)先生のようなことを言ったので、麻間さんはクスっと小さく笑いました。

「あとは、お客様から注文が来次第、問屋の倉庫から発送される『ドロップシッピング』形式の販売方法で500,000商品を集めるという方法もあるんですが、これをやってしまうと『同梱』ができないんですよね。鬼切社長、『同梱』はわかりますよね?」

「はい、そこは勉強しましたよ。ネットショップの同じ買い物カゴで買った商品を、同じ荷物で発送することですよね」

「そうです。もし同じ買い物カゴで、異なる倉庫から発送される商品同士を購入した場合。荷物がふたつになってしまう可能性があるんですね。そうなると問題は、ひとつ分多くなった送料を誰が負担するか、ということになります。これは、当然『ネットショップ側』の負担です。この負担がけっこう重たいんですよね」

つづきはこちら

カテゴリー: 0.ECMJコラムALL, 連載, 鬼切社長シリーズ

ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから