効果測定の精緻さと、施策のスピードのバランス。【no.0184】
経営者&登山ガイドの某Yさんから質問をいただいたので、それにお答えしようかと思います。ちなみに、Yさんには以前、勉強会で講演をしてもらったことがあるのですが、めちゃめちゃ面白いです。「今まで聞いた講演の中で一番面白かった」と言った方がたくさんいました。50代60代の方がですよ。質疑応答の時間がなくなるくらい、2時間ぶっ通しでお話しいただきました。
Q1)
analyticsや各モールのアクセス解析がかなりUIも高い中で、”エクセルにつける”意味があるか。
私の仮説的には、ある、で、やっぱり習慣づける、という意味と、見る、と書く、だと意識するときの深さが違うんではないかと思っているのですが、どうでしょうか。
A1)
全くもっておっしゃる通りです。単にシステムでデータを見るのと、それを“エクセルにつける”のでは、自分の身体に沁み込む力が違います。ちょうど、学生時代に英語や歴史を学ぶとき、教科書や参考書を読むだけでなく、ノートに書き写して覚えたのと同じです。
日々の数字を「見る、書く(入力する)」という体験として習慣づけていくことによって、数字の変化に対する感覚を研いでいくわけですね。もしかしたら、数字を読み上げて「聞く」感覚も使ったら、もっと感度が上がるかもしれません。
Q2)
効果測定の精緻さと、施策のスピードをいかにバランスとるか。
例えば、トップページの改修とメルマガの発行と商品の追加、みたいなものが同時にやれる状態だった場合に、同時にやると効果測定ができない。かといって、効果測定を本当に精緻にやろうとすると、例えば増税前と増税後に同じ施策をうって比較しなければならないetc
どこまでいっても、もちろんバランスです、という答えにしかならないのでしょうが、もしなにか気にした方がよい基準などあれば。
A2)
詰まるとこバランス、みたいな話になってしまうのかもしれませんが、「1%1%を積み重ねる」視点で、参考になるかもしれない考え方をあげてみます。
1.施策をバラバラに行う
それでも、故意に施策をバラバラにして行うということですね。全てがマーケティングでありシミュレーションの一環であると捉えて、「同時にやらない」方を選択します。選択は「効果が出やすいもの」を優先して行い、「日次→週次→月次→年次」のデータで成果の検証をする感じです。
2.「定量を超えた定性」で見る
施策をおこなってデータで成果検証を行うのは、各施策ごとの定量的な成果を判断するのが目的ですが、複数の施策を同時に走らせて、どの施策がどの数字に絡んでいるのかが定量的にわからない場合、「定量を超えた定性」と認識して、売上やアクセス人数、コンバージョンなどの主要なKPI項目が上がっていたらOKとみなしてしまう。ただし、きちんと複数の施策をメモしておいて、未来の施策&データと比較できるようにしておく。
3.指標を決めてから施策を決める
発想として、施策を決めてから、その施策がどの指標に影響がでるのかを考えるのではなく、先に影響を与えるべき指標を決めてから、そのための施策を考えるようにする。そうすると、「施策【複数】→データ【複数】」という糸が絡まったような状態から、「データ【1つ】→施策【複数】」という状態が作れるようになるので、成果検証と施策の比較がしやすくなる。少し2.に似てるんですが、データによる効果測定を「目盛りが10°単位のおおざっぱなコンパス」として使う、ということかなと思います。方向はきっちり確認できる、みたいな。
このあたりを考えた上で、「バランスかな」という話になってしまうんですが、ここ詰めているか詰めていないかで、長期的にみてかなり成長が変わってくるのではなかと。データによる効果測定で、「完全定量」までいければベストですが、常に条件は同じではないので、「定量を超えた定性」「目盛りが10°単位のおおざっぱなコンパス」としてしか成果検証ができない場合も多いですよね。施策を決める時点で「それをどこまで判断できるか」を把握しておくことが大切だと思います。
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