ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

そういうお店さんはみなさん失敗されています。【no.0220】

 ネットショップのあるあるストーリー、その壱つづき。(前回はこちら

 鬼切社長は若干の不安を抱えながら電話にでましたが、担当者はいつもの明るい調子でした
「鬼切社長、今回も売れましたね~。やっぱり、おにぎり水産の笹かまぼこは人気がありますね。これで笹かまぼこランキングでも5位まできました。トップ5の仲間入りですよ。おめでとうございます。これからはネットショップでもトップ5に入る社長と呼ばせていただきます」

 鬼切社長は担当者の気分を害するのは悪いと思いましたが、自分の腹の底にある不安を思い切って聞いてみました。
「でも、前回と同じ数しか売れんかってん。このままで大丈夫かな、思うて」

 担当者は落ち着いた調子で言います。
「鬼切社長、安心してください。今回の広告の目的は、商品をたくさん売ることじゃなくて、笹かまぼこランキングの順位を上げることですから。前回は8位、今回は5位。しっかりと結果が出ているじゃないですか。ましてや、母の日というイベントはカーネーションやスィーツといった商材が強いですから、健闘どころか大健闘だと思いますよ。このまま、ランキング1位まで一気に突き進んでしまいましょう。次はご存じ、父の日というイベントがあるのですが‥」

 鬼切社長は言葉を遮るように言いました。
「いや、度重なる注文で、トラブルが続出してるんですわ。出荷もフル体制で頑張ってもらってるんですが、初めてのこと続きで商品の梱包ミスの連絡がお客様から来とります。それに、やっぱり少しずつ売れなくなってきてる気がするし、お客様がそろそろ飽きるんじゃないかと‥」

 担当者の語気が今までで一番荒くなります。
鬼切社長、全くもって違います。インターネットは露出が全てです。露出がなければ、お客様がアクセスしてくれることはありません。いいですか。父の日ですよ。母の日よりも笹かまぼこの需要は大きいはずです。今回の広告は、2014父の日お酒といっしょに食べたいおつまみ特集ですよ。訴求力もバッチリじゃないですか。しかも、なぜ母の日広告で売れなかったか、鬼切社長、ちゃんとわかっていますか。おにぎり水産の競合のはなまる水産が、笹かまぼこを6枚セット980円(送料無料)にしたからなんですよ。理由ははっきりしています。理由がはっきりしていれば、打つ手もはっきりしますよね

 一気にまくし立てられ、鬼切社長は圧倒されてしまいます。
「そそそそ、それで、どうしたらいいんでしょうか?広告、買うしかないですか?

 担当者の声が自信に満ち溢れます。
「他に方法はご存じなのですか?ご存じであればトライされれば良いのではないですか。私だったら父の日の広告で、5枚セット780円(送料無料)で売りますけどね。あと、鬼切社長、もうひとつお伝えしておきます。広告というのは、ご存じのとおり、実売だけではなくブランド認知としての効果を忘れてはいけません。継続的に広告を出稿することで『このネットショップはいつも広告を出している。きっと売れているお店なんだ』と信用してもらうことができるのです。まだまだ3回目ですよ。そう簡単にお客様からの信用をいただけるとは思わないでください。インターネット戦略への認識が甘いですよ。そういうお店さんはみなさん失敗されています」

 鬼切社長は、全くもってインターネットに詳しくないので、「インターネット戦略とは‥?」みたいな話をされると切り返すことができません。かといって他に頼れる人もいませんから、担当者の言うとおりにするしかありません。2014父の日お酒といっしょに食べたいおつまみ特集50万円、笹かまぼこ5枚セットを780円(送料無料)で販売です。担当者は優しいことに、「鬼切社長、無料の広告枠を付けますから」とよくわからない広告をくれましたが。

 さて、広告期間の金額は‥780円のセットが、300セットだけ‥。製造班が徹夜して、大量の在庫を抱えていたのに。発送班のアルバイトを増やして、大量の出荷に備えていたのに。鬼切社長は唖然としました。ままままま、マジか‥

 いつもはすぐに電話をかけてくるあの担当者から、待てども待てども連絡がきません。たまりかねた鬼切社長は、自ら担当者に電話することにしました

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから