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転換率は高ければ高いほどいい?転換率を考えることの難しさ【no.0777】

 転換率は高ければ高いほどいい?転換率を考えることの難しさ。(前回はこちら

 七海さんと友花里さんは次の宿題について、おにぎり水産の会議室で話していました。

*転換率ってアクセス人数よりも変化が激しくない?

 麻間さんがふたつ目の宿題として七海さんに与えたのは、「転換率を上げるには?」のアイデアを考える、というものでした。いつものように七海さんは友花里さんをつかまえて、実店舗の「笹かまオニギリ」閉店後に打ち合わせをお願いしていました。

「『転換率』ねぇ。毎日数字は実行数値管理表に入力していたけども、アクセス数ばっかり見てたから、あまり気にしてなかったね。それにしても、毎日このくらい違いがあるとは・・。これってアクセス数よりも変化が激しくない?」

 七海さんがノートパソコンに表示した実行数値管理表のエクセルを指差しながらいいました。実行数値管理表の転換率の欄には、5%・7%・3%・6%・10%・15%と日々の転換率の数字が並んでいます。ざっと見た感じでも、かなり数字に開きがあるようです。

「七海、いい?さっき麻間さんからの質問でもあったけど、転換率ってのは『受注件数÷アクセス人数』で計算されるの。日によっては10%とか15%とか、すごく高い数字の日があるけれども、ここ、見てみなさいよ」

*転換率の高い日は、いつもよりアクセスが少ない?

 友花里さんが転換率10%と15%の日にちのエクセルを指差しました。指の先のノートパソコンのディスプレイには小さなゴミが付いていました。

「まさか友花里・・転換率が高い日の理由って、このゴミだって言う気じゃ・・」

 七海さんが友花里さんを不審な人をみる目で見て、いいました。友花里さんは「いやいや」と軽くあしらい、ディスプレイについた小さなゴミをとって床に捨て、もう一度エクセルを指差し、「ここよ。ここ」といいました。友花里さんが指差していたのは、実行数値管理表のアクセス人数の欄でした。

「この転換率10%と15%の日のアクセス人数みてみて。外の日に比べて少しアクセスが少ないと思わない?」

 最近の笹かまオニギリオンラインショップのアクセス人数は、1日あたり60-80人というところですが、転換率10%の日はアクセス人数が50人、転換率15%の日はアクセス人数が40人というように、いつもよりアクセスの少ない日が続いています。友花里さんに教えられ、七海さんもそれに気がつきました。

「七海。転換率って、『受注件数÷アクセス人数』の割り算で計算するじゃない。数字って、大きい方がいいように感じるけれど、アクセス人数が50人とか40人とかいつもの数より少なくなると、転換率って大きくなっちゃうんだよね。だから、一概に大きい数字がいいとは言えないなって」

*転換率は高いからいいとも言えないもの

 たしかに、と七海さんは思いました。友花里さんのいうとおりです。毎日のアクセス人数が同じであれば転換率が伸びれば伸びるほど、ネットショップの注文は増えていることになります。しかし、毎日のアクセス人数は一定ではありません。アクセス人数が減ると、注文が1件増えただけで転換率の数字が大きく跳ね上がります。

「転換率って、高いからいいとも言えないんだね」

 七海さんはいいました。アクセス人数は高ければ高いほどいいように思っていましたが、転換率はそうでもないようです。もしかしたら、アクセス人数も高ければ高いほどいいとも言えないのかも・・と七海さんは思いました。

「七海、『それで転換率を上げるには?』って麻間さんからの宿題。アイデアは考えてきた?」

 友花里さんの質問に七海さんはやっと我に返りました。「えっと・・」。七海さんはアイデアをメモした紙を探しました。紙を探しながら七海さんは、転換率を上げるって本当はどういうことなんだろう、と考えました。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから