猪井氏先生は逃げも隠れもしない。【no.0248】
ネットショップのあるあるストーリー、その壱つづき。(前回はこちら)
ズズズズ‥。
鬼切社長が話すおにぎり水産のこれまでの歴史や事業内容、歴代の経営者(鬼切社長の祖父、父)の話、そしておにぎり水産のネットショップがこれまでどのように歩んできたか、そして鬼切社長の苦労などを、猪井氏(いいし)先生は目をつむって、時折お茶をすすりながら黙って聞いていました。
目をつむったまま、お茶もすすらず、頷きもしない。ピクリとも動かない時間帯もあったので、鬼切社長は「この人、もしかして寝ちゃってない?」と思いながら話していました。二子社長の紹介、そしてにこにこ水産にアドバイスをしているという事実があるので丁寧に迎えてはいるものの、心の中で少しずつ不安、そして不信が募っていきました。
鬼切社長はひととおり話し終わった後、猪井氏先生に向かって聞きました。
「私の話はこんなところです。申し訳ありませんが、猪井氏先生の話をしてもらえませんか?ネットショップをやられたこと、残された実績などは当然あるんですよね?」
「いや、ネットショップをやったことはないよ。パソコンすら触ったこともほとんどない。調べものも、孫にお願いしてパソコンで調べてもらってるくらいだからな、ワッハッハッハ!」
猪井氏先生は豪快に笑いましたが、鬼切社長は愛想笑い程度しかできるわけがありません。「おいおい、ネットショップをやったこともないどころか、パソコンすら触ったこともないのか。これでにこにこ水産のネットショップの売上が伸びているのはなぜだ?たまたまか、もしかしてまぐれか?猪井氏先生の実力ではなくて、二子社長の実力なのか?だとしたら、二子社長は猪井氏先生に騙されているのではないか?」。鬼切社長の中で、猪井氏先生に対する不信感がさらに大きくなりました。
「いやー、パソコンも触ったことがないのによくネットショップを教えることができますね。二子社長は、猪井氏先生に出会って、ネットショップの考え方がわかったと言ってましたが、ネットショップをやったことはないはずなのに教えることができるんですかね。ちょっとそこは、僕はわからないなー」
鬼切社長は嫌味を込めた言葉を言いました。「ちょっとこのジジイを試してやろう」。そう思ったからです。すると、猪井氏先生は、突然笑い出しました。
「ワッハッハッハ!ワッハッハッハ!」
「どうしたんですか?」
「まあ、確かに、ネットショップをやったことがないとか、パソコンに触ったことがないって言われたら、『本当に大丈夫か?』って思うわなぁ。コイツの実力試してやろう、って思うかもしれんわ。そうじゃろ、鬼切はん。でも、自分、インターネットで成功したいんじゃろ。だったら、素直にならなきゃだめだ。まずは、姿勢から変えなきゃだめだ。そんな態度を取られて、ワシもこの机を蹴飛ばして、部屋出て行ってもいいんじゃけども、そうはせんよ。二子社長に鬼切はんのこと、助けてやってくれって言われてるからな。言いたいことはいくらでも言え。バカにしたければいくらでもバカにせぇ。でも、ワシは鬼切はんが素直になるまで、この部屋出ていかへんよ!」
いままでズズズとZZZだけを繰り返していた猪井氏先生が、突然大きな声で話し出したので鬼切社長は驚きました。そして、それ以上に鬼切社長を驚かしたのは、事務所にやってきたときや、名刺を渡してきたときとは全く違う、猪井氏先生の雰囲気でした。単なるお爺ちゃんとは思えない堂々とした態度が感じられました。そして、その勢いに鬼切社長は圧倒されていました。
猪井氏先生は続けます。
「まあ、鬼切はんが疑うのも仕方ないわ。そしたら、まずは具体的な悩みのとこから話していこうか。さっき、鬼切はん『メールマガジンを流したけど、全然リピートしてもらえない』言うとったよな。なんで、リピートしてもらえないのか、それを話そか」
鬼切社長は頷きました。「くるぞ」。そんな気がして、唾をゴクリと飲み込みました。
つづきはこちら。
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