ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

毎日数字をつけていると、不思議なことに気づく。数字は日々動いているのだ【no.0644】

 ネットショプのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

「インターネットのマーケティングは『やること』を考えるより、『やったこと』考えるんじゃ。まあ、まずはここまで教えた『実行数値管理表』を毎日つけてみてや。七海はんの仕事はそこからじゃ」

 猪井氏(いいし)先生はそう伝えて、おにぎり水産の会議室から去っていきました。特に何をすればいいか、教えてもらっていないけれど、いいのだろうか。七海さんはそう思いました。

 ひとまず、猪井氏先生に教えてもらったとおり、七海さんは毎朝「実行数値管理表」をつけてみることにしました。次に猪井氏先生が来社するのは2週間後なので、それまでは三日坊主にならずに毎日つけてみようと決めました。

 毎朝、出社して最初にパソコンを開きます。パソコンを開いたら、ネットショップのシステムを確認します。麻間(あさま)さんにフォローをいただいて、比較的簡単に「売上」「アクセス人数」「受注件数」「転換率」「客単価」の数字を確認することができるようになりました。「施策・改善策」「理由・特筆事項」の欄は、猪井氏先生が「まずは2週間、何も書かんでええわ」ということだったので、空欄にしてあります。

 七海さんは毎日「実行数値管理表」をつけていると、不思議なことに気がつきました。アクセス人数が日によって変わっているのです。1日に5人しかお客さんがこない日もあれば、1日に10人のお客さんがくることもあります。2週間、データを見ているとアクセス人数は5人~10人の間で動いていました。

 実店舗を担当していたときは、特に来店したお客さんの数は気にしていませんでした。おにぎり水産の工場見学のバスがくれば、必ず実店舗にお客さんが入ってきてくれましたし、もちろんいちいちお客さんの数を数えるようなこともしていませんでした。ネットショップにいつ、どんな感じのお客さんが、どんな顔をして来店してくれているのかはわかりませんが、確かに1日10人のお客さんが来店をしてくれている。その事実に七海さんはとても興味を持ちました。

 その中で、毎日ではありませんが、2-3日に1度、お客さんから注文が入ってきました。ネットショプが開店して数日間は注文がなかったので心配をしていましたが、「売上ゼロ」ということは無さそうです。七海さんはホッと胸をなでおろしましたが、まだまだ目標からはほど遠い金額です。

 麻間さんからは毎日のようにメールが飛んできます。「猪井氏先生のいうことを、きちんと聞いていれば大丈夫ですよ。ゆっくり着実に成長しましょう。鬼切社長も理解をしてくれています」。そう励ましのメールがきて、七海さんは安心しました。

 そして、2週間後、猪井氏先生がおにぎり水産にやってきました。今回は麻間さんも一緒に打ち合わせにやってきました。

「七海はん、どうじゃ。エクセル、作ってみてくれたかの」

 七海さんは2週間、毎朝データの入力を続けた「実行数値管理表」を印刷して、猪井氏先生と麻間さんに渡しました。

「おおー、きちんとやっとるがなぁ。七海はん、ええな。ワシ、これをいろんな人にやってもらってるけども、こんなシンプルで簡単なことでも、2週間続けられない人もおるんじゃよ」

 「え~そうなんですかぁ」と七海さんは信じられないといった感じの反応をしました。

「で、2週間、数字をつけてみてどうじゃった?ここから何を感じたか?というのが重要なんじゃけども」

 猪井氏先生の七海さんを見る目がキラリと光りました。七海さんは少し緊張したので、お茶をひと口飲んで間を取りました。そして、自分の気づきを話し出しました。

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから