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楽天市場の二重価格問題が、eコマース革命を加速させる!?【no.0063】

 楽天市場の優勝セールが終了した。11月3日の22:15~11月7日の1:59までの約3日間。ネットショップのみなさんのお話しを聞いていると、とにかく反響が凄かったようだ。たった3日間で月商レベルの受注、普段の30倍以上の売上、なんてお店も。あんだけ毎回テレビCMを打っている楽天スーパーセールでも普段の数倍の売上なわけだから、「プロ野球で日本一、つまり、どこかでセールが始まる」という方程式は、とんでもない文化なのだなと驚くばかり。今回の日本シリーズは、楽天の初優勝だったり、田中マー君の記録だったり、東北復興の意味合いがあったり、星野監督の巨人に対するリベンジだったり(これはまあいいか)と注目度がとても高かったし、巨人ファン以外の日本全体が「今回は楽天の日本一で」的な雰囲気があったように感じた

 私の周りの友人も例外ではなく、普段プロ野球に興味がない人も、「楽天を応援しています」というが多かったわけだ。まあ、そういう人達は、楽天イーグルスに興味があるわけではなく、楽天市場のセールに興味があるわけ。そこが正に「プロ野球で日本一、つまり、どこかでセールが始まる」という文化の表れではあるわけで、やっぱり優勝が決まると楽天市場にアクセスが殺到した。そして、楽天市場のサーバーは一時的に落ちた。楽天もこれまでのスーパーセールの傾向を見て対策していたのだろうけども、ここまで優勝セールってものが国民的文化だとはわからなかったよね。だって初だもん。「今年は楽天に優勝してほしい。なぜなら楽天市場のセールがあるから」と人は言うけれど、実際に値引きをするのは楽天市場に出店しているネットショップであって、楽天市場が値引きをするわけじゃないのだよ。と思っていたら、やっぱり起きました二重価格問題。

 すでにいろんなところで紹介されているので、ご存じかと思いますが、通常価格から77%引きのセール価格を設定していないと、優勝セールのページに表示されないため、通常価格を引き上げることで強引に77%引きの設定を行っているショップが多数あったというもの。で、セール価格が実質的な通常価格じゃない、と突っ込みが入ったと。有名なのは、通常価格1万2,000円が77%オフで2,600円になったシュークリームとか、通常価格43万3915円でセール価格が9万5048円になっていたSIMフリーのiPhone 4Sとか。まあ、このあたりは完全に氷山の一角で、まだまだたくさんの不正価格表記があっただろうし、もちろんシュークリームの店も悪いんだけども、誰が一番悪いかと言えば楽天市場ってことになってしまうでしょうね

 どこかの誰かが指示したのかもしれないし、自分で「このくらいいいかな?」と思ってやっちゃったのかもしれないし、そこはわからないんだけども、この二重価格をシステム上で管理できるようにしたり、ショップ担当のECコンサルタントがチェックして指摘できるはずでしょう。楽天市場に出店しているネットショップの広告入稿なんかは、基本的に数日前の入稿が義務づけられているし、入稿画像やテキスト、リンク先のページに対象の商品があるか、その商品の表記は間違っていないかとか、きちんとチェックされます。今回の優勝セールは全店舗が対象だから、チェックの負担がとても大きいとはいえ、そして優勝がいつ決まるかわからないとはいえ、スルーする結果になるのはマズいでしょう。残念ながら、これは楽天市場として黙認していると思われても仕方ないっす

 今回、「プロ野球で日本一、つまり、どこかでセールが始まる」とうのが、EC市場史上最高にインパクトが大きすぎたからこそ、こんな問題が露見したわけですが、いまに始まったことじゃないし、これで収まるものでもないです。プラットフォーム側としては、出店者を増やして出店料を払い続けて欲しいわけで、玉石混交、どんな商売のモラルを持っているか確認できずにショップを増やしていくわけですからね。まあ、これもある種、出店料を収益の軸としているからこそ起きる問題かもしれなくて、出店料が無料ならばプラットフォーム側がバシバシ不良店舗を切っていけばいいわけです。それが、出店料をもらっていて、出店を続けて欲しくて、イベントに合わせて売上を取ってもらおうとして、ショップも価格をいじって、最後はお客様を騙すという結果になってしまっている。出店料がショッピングモールの売上の柱である限り、この手の問題は続くだろうなぁ。ヤフーショッピングがバンバンお店を集めて、バンバン不良店舗を切っていくことをやったら、これスゴイですね。それは有料ではなく、無料だからこそできるわけ

 シュークリームのお店、どんな店舗なのかイマイチわからないけど、ネットショップ開店して、でも思うようにお客様が来なくて、優勝セールに乗っかって、軽い気持ちで通常価格をいじっただけ、とかだったらなんだか気の毒だな。これで一気に有名になっちゃいましたしね。これでネットショップを辞めなきゃいけなくなるかもしれませんが、アクセスは激増していると思いますし、炎上マーケティングだと開き直って「誠意をもった」謝罪セールでもやって欲しいですね。

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石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから