ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

「アクセスが多く、売れる」の定義を自社でつくるための考え方【no.0952】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

「『アクセスが多く、なおかつ売れている』という定義を自社で作っていくための、考え方のコツはありますか?」

 七海さんが麻間(あさま)さんに質問をしました。麻間さんは少し考えていいました。

「ここはインターネットのビジネスの難しいところなのですが、あくまで『過去の自社のデータと現在の自社のデータ』を比較することが中心になります。なので、市場や競合他社とデータを比較するのではなく、自社の比較を積み重ねていくということですね。そういう点では、明確な定義はないと言えます。過去を超え続けることが大事、という考え方です」

 七海さんは少し不満そうな顔をしました。麻間さんがいうことはわかるのですが、何か明確な『軸』があればもっと納得がいきそうな感じです。麻間さんがいいました。

「あくまで、いま私がお話したことを前提にして、です。ひとつは、それでも他社のデータと比較するという方法があります。たとえば、競合他社のWEBページのアクセス数の概算を知ることができるツールがあります。これを使えば、自社ネットショップとの比較はしやすいですね。また、ショッピングモールやカートシステムの会社で、ユーザー企業のデータを公開しているところもあります。有名なものだと、『同一ジャンル(同一カテゴリ)の平均アクセス数』や『平均転換率(コンバージョン率)』といったものですね」

 七海さんが「そういうものがあるんですね!」というような感じで、目をキラキラさせました。

「まあ、あくまでこういうのもありますよ、という程度です。ネットショップ各々によって、取り扱っている商材は違いますし、ページのつくり方も違います。ページをつくっている人のスキルやセンスも異なります。ネットショップを始めた時期が異なれば、購入しているお客様も違います。運営会社のブランドも異なるでしょう。なので、あくまで『参考程度に』という認識が大切ですね」

 麻間さんの意見に七海さんが頷きました。

「あとは、『アクセスが多く、なおかつ売れている』商品かを判断するときに、明確にデータで判断をつけられる方法があります。それがインターネット広告ですね。『アクセスが多く、なおかつ売れる』と思われる商品が出てきたら、インターネット広告をかけてアクセス人数を増やしてみます。たとえば、毎日100人、毎日10件のアクセスと受注がある商品ページがあったとします。その商品ページの導線を1日1,000人まで増やしたときに、果たして100件の受注が取れるのか、ということですね」

「それって、インターネット広告を活用したときに、10%の転換率を保つことができたら『アクセスが多く、なおかつ売れる』商品であることが証明される、って意味ですか?」

 友花里さんが聞きました。

「そうですね。アクセス数100人に対して10人が購入してくれ、アクセス数1,000人に対して100人が購入してくれた場合、アクセス数が増え続けても10%の転換率を保てる期待ができます。1万人、10万人と同じ結果が出るのか、常に検証は必要ですが、理屈上は『レバレッジ=てこの作用』が使える商品ということになりますね。ただ、現実にはすごく特別な商品以外にはこのようになりません。アクセス数が増えれば増えるほど、転換率が下がっていくのが普通です」

「じゃあ、どうすればいいんですか?」。七海さんが少し怒ったように聞きました。麻間さんはいいました。

「判断をつくるには、計算が必要です」

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから