ECMJ(株式会社ECマーケティング人財育成)

「商品販売実績管理」のエクセルを作ることでわかること【no.0924】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

「新しい発見って、たしかに実店舗の方が多い気がします」

 友花里さんがそういうと、麻間(あさま)さんが頷きます。

「そうなんですよ。実店舗って、商品同士の比較がとても簡単なんです。たくさん並んでいる商品から、感覚的に自分が欲しいものを探すことができますから。むしろ、ネットショップの方が商品同士の比較が難しい、というべきなんでしょうけれども」

「そこをどうお客様にみせていくか、それが課題のひとつになりそうですね」

 友花里さんはメモ帳に気づきを書き込みました。七海さんはそれを横からみていました。

「ここで知っておいてもらいたいことは、まずネットショップには『導線』というものがあること。『導線』の強さや多さで商品を見てくれるお客様が変わります。また、商品ページへの『導線』に至る前で止まってしまっているお客様がいること。このお客様にどうやって『導線』をクリックしてもらうか、という改善も重要です。そして最後に、ネットショップというビジネスは『ショップ同士を比較するのは簡単』なのですが、『商品同士を比較するのが難しい』ということ。この3点を押さえておいてもらえると良いかと思います。『笹かまオニギリ』のネットショップを成長させる上で、必ず必要な考え方になるはずです」

 七海さんは麻間さんが話したことを自分のメモ帳に書き入れました。友花里さんがメモしていたことと同じほとんど同じ内容でした。

「さて、では『商品販売実績管理』の作成について解説をします。このエクセルを作成することでいくつかのことがわかります。まず、『笹かまオニギリ』のネットショップで販売している商品のうち、お客様により見られている商品ページはどこなのか、ということです。つまり、この『お客様に見られている商品ページ』こそ、多くのお客様が通っている『導線』になっているということです」

 麻間さんはホワイトボードに向かい、「導線」という文字を書いて円で囲みました。

「また、どの商品が注文をいただいているのかも、『商品販売実績管理』のエクセルを作ることで確認することができます。七海さん、友花里さんは感覚的に『どの商品がネットショップで売れているか』を掴まれているかと思いますが、これを『数字で定量的』に理解しておくことが大切です。『アクセスが多くても、あまり売れていない商品』、『アクセスは少ないのに、やけに売れている商品』を見つけていけると、次の具体的な改善活動が決まってきます。まあ、まずは実際にエクセルを作成してみるのが良いでしょうね」

 麻間さんはそういうと、ホワイトボードに書いてある内容をイレーザーで消し、エクセルを書き出しました。そして、「商品販売実績管理」を作成するにあたって取得する、いくつかの数値項目の説明をしました。

「まずはこの7項目からエクセルの作成をスタートさせようと思うんですが、いずれの項目も現状のデータベースやシステムから取得することは可能ですか?」

 データベースやシステムという慣れない言葉を聞いて、七海さんは頭が混乱しました。それを感じた友花里さんがすかさず答えます。

「いずれの項目も可能だと思います。商品別のアクセス数はGoogleアナリティクスで取得することが可能ですし、受注数については社内のデータベースにネットでの注文データが入っているので、その集計の方法だけ、システム担当の方に聞いておきます」

 麻間さんは頷き、言いました。

「ではまず、次回の打ち合わせまでに、今月の『商品販売実績管理』をつくってみましょう」

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ishida

石田 麻琴 / コンサルタント

株式会社ECマーケティング人財育成・代表取締役。 早稲田大学卒業後、Eコマース事業会社でネットショップ責任者を6年間経験。 BPIA常務理事。協同組合ワイズ総研理事。情報産業経営者稲門会役員。日本道経会理事。 UdemyにてECマーケティング講座配信中。 こちらから